番外編#7 寂しさと嬉しさと ページ45
(#220 その後)
ヒソカside
ヒソカ「鈍感はいつまで経っても治らないらしいや。」
そう呟いて思い出したのは、さっきまで横にいた彼女と良く似たあの人のこと。
*
ヒソカ『…で、僕が君の娘を守ればいいっていうのは分かったんだけどさ、いつまでその約束を守ればいい訳？』
『僕だってプライベートがあるんだからさ。』と街で知ったばかりのカタカナを並べると、彼女は笑いながら返した。
『大丈夫、せいぜいあと十数年の話だと思うわ。』
ヒソカ『長…。』
『Aが本当に心から人を愛せるようになった時、これは外れる様になってるの。そんな存在がいれば、もう私の力なんて要らないからね。』
ヒソカ『ふーん。君、旦那にも同じの付けてただろ。あれは？』
『あれは一生外れないわよ。だってあの人は私以外眼中にないんだから。』
相変わらずの惚気話に適当に相槌をうちながら、噂の幼女にふと目をやるとすやすやと昼寝をしていた。
僕、こんなちっちゃいの守れるかな。
その生き物は、触っただけで壊れてしまいそうなくらいに頼りない。
集中が離れていることに気付いたのか、彼女は苦笑いして僕の頭をわしゃわしゃと撫でた。
ヒソカ『何…僕、もう子供じゃないんだけど。』
『ふふふ、そうね。
初めて会った時の何倍も大きくなったし強くなったわ。…ヒソカ、本当に貴方のことは弟の様に思ってる。今までありがとう。』
何だよ、まるでもう二度と会えなくなるみたいな言い方して。
ヒソカ『…。』
『これが私の最初で最期の貴方への我儘。この子を…Aを守って。大切な娘なの。』
ヒソカ『…分かったよ。』
面倒くさいしなんのメリットも無い約束に変わりはなかったのに、不思議と首を横に振ることは出来なかった。
*
ヒソカ「本当に心から愛する人…ねぇ。」
久しぶりに隣に並んだ彼女からは、金属の掠れる音がしなかった。
予想通りにその手足には見慣れた装飾品が存在しなかった。
そして、彼女は「特別な関係なんかじゃない」らしい青年の代わりにと律儀に休日の貴重な時間を割いているのだ。
…答えなんてもう明白じゃないか。
お互い思いあっているのに、こうも拗れてしまうとは、きっと彼女の母も想定していなかったに違いない。
ヒソカ「あとは時間の問題だな…。」
少し寂しさを感じながらも、不思議と上がる口角を抑えて街を抜けた。
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あ - 本当に良い作品でした…名作。。完結お疲れ様でした。2024年ですが (1月16日 1時) (
レス) @page40 id: b41e70529d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - もう泣きましたよー！素敵な物語ありがとうございました。お疲れ様です (2022年7月15日 0時) (レス) @page49 id: c887a79125 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで何よりです(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 読んでいく度に続きが気になって夜更かししてまで読んでました笑めっちゃ面白かったです！！これが初めての作品だと…？！文才、めっちゃありましたよ…！今更ですが、完結お疲れ様でした！かにかまさんの他の作品に行ってきます！ (2021年5月28日 18時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - るきさん» 素敵なコメントありがとうございます。最近はH×Hに疎遠になってしまっているのですが、いつか機会があったらまた書きたいなと思っています。気長に待っていただけたら嬉しいです(^^) (2020年11月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2019年12月15日 7時
