【H×H】緋の欠片〜成長編〜【クラピカ】

番外編#6 初恋は実らない(2) ページ44

キルアside


キルア「…ざまぁみろ。」



病室を出る最中自分に向かってそう呟いてみると、「何が？」と聞き覚えのある声。




キルア「何でもねぇ。」



ゴン「ふーん…。」



何かを探るように俺の顔をジロジロと見る様子は、昔からずっと変わりない。コイツはそういうの疎そうだもんな、と思って溜息をつくと、ゴンは変に大人びた表情をして微笑んだ。




ゴン「俺、キルアのそういうとこ好きだよ。」


キルア「…見てたのかよ。」


ゴン「キルアが “俺にしとけよ。”って言った辺りからね。」




…つまりは、丸々全部じゃねぇか。



「ごめんね、偶然遭遇しちゃって。」と平謝りしながら、自販機で買ったコーラを俺にパスした。




キルア「分かってんじゃん、俺の一番好きなヤツだ。」


ゴン「当たり前だよ。何年一緒に居ると思ってんのさ。」


キルア「…そうだよな、もう四年も経つのか。」


ゴン「懐かしいなぁ……。」






初めて会った時、俺はコイツらと肩を並べる未来が待っているとは思いもしなかった。ましてや、恋なんて感情を抱くことになるとは…。



ゴンはぼうっと窓の外を眺めながら、そのまま言葉を紡いだ。





ゴン「俺さ、本当は気付いてたんだ。キルアの気持ちも、A達の気持ちも。」



キルア「！そ、そうなのか…。」



ゴン「でも俺は皆んなの事が好きだから、誰かを贔屓目に応援することなんて出来なかった。」





「怒った？」と困ったように微笑んで俺をみた。



…怒るわけないだろ。



俺はお前のそんな真っ直ぐで仲間思いな所に憧れてるんだから。



だけど、何となく大人びたゴンを見るのは癪に触ったので「どうだろうな。」と素っ気なく返してやった。



ムカつくことにそんな俺の思惑まで察した様子の奴は、「やっぱり優しいよね。」と満足気に呟いた。





ゴン「キルアは勿体ないよ。イケメンだし絶対モテるのに、そういうことに鈍いんだから。」



キルア「…んだよ。」



ゴン「ま、もう少し素直になれればの話だけどね。」



キルア「なっ…一言余計だアホ！」



ゴン「ほら、そういう言葉遣いとかさぁ。」



キルア「…。」





やっぱりゴンが大人ぶってるのは妙に腹が立つ。
…まぁ、何だかんだ、こうやって馬鹿してられる日常が一番幸せなのかもしれないけどな。

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