#224 ページ38
暫くの間、顔色やら心拍数やらに上向きの変化が見られたので、「四ヶ月もすれば目を覚ますでしょう。」と医師は微笑んだものだった。
＿＿＿気付けば半年が経つ。
病室に配属されるナースの人数も頻度も圧倒的に少なくなった。
もう普通に生活するのは諦めろ…かぁ。
先程目の前で医師に告げられたばかりのその言葉に、深い溜息を落とした。
「気付かないフリしてたのになんで言っちゃうかなぁ…。そう思わない？」
偶然病室に鉢合わせたキルアに話を振ると、「それが医者の仕事なんだから仕方ねぇだろ。」と至極冷静な答えを返す。
「これからもクラピカが目を覚ますのを待つつもりだけどさ…ほんの少しだけ不安になってきちゃった＿＿＿なんちゃって…」
おどけた語尾を掻き消すように、いつになく真剣な顔の彼は口を開いた。
キルア「俺にしとけよ。」
「へ？」
キルア「俺だったらAにそんな顔させたりしない。」
そう言われて、自分が今にも泣きそうな表情をしていたことに気付いた。
…何やってるんだろう私。
五歳も歳下の男の子に慰められて。
本当に情けないや。
「本当だよね。キルアは器用だし、お金持ちだし、イケメンだし…」
キルア「…。」
「でも、私にはクラピカしか居ないんだ。」
キルア「…はぁ…お前趣味悪ぃな。」
「ふふふ、それレオリオにも言われた。」
「やってらんねぇなぁ」と肩を竦めながら彼は立ち上がった。
「もう行っちゃうの？」
キルア「あぁ、アルカが待ってるから。」
「もう少しだけ頑張ってみようって思えたよ。」
キルア「そりゃあ良かった。」
優しく微笑む彼の表情は、とても大人びていた。
「＿＿本当にありがとう。」
心からの思いをそう真っ直ぐに伝えると、彼はドアの方に向けていたつま先をもう一度私の方に戻した。
…それから、私のことを抱きしめた。
私よりずっと広い背中に、気付けば抜かされていた身長に…
そんな全てが心を擽った。
(いつの間にか、男の人になってたんだなぁ…。)
「キルア…？」
そうっと尋ねると、彼はゆっくりと離れ、からかう様な顔をして笑った。
キルア「＿＿やっぱりお前は馬鹿だ。」
「自分でもそう思うよ。」
パタンと静かに扉が閉まった音がする。
「はぁ…こりゃ本格的に貰い手が居なくなったね。」
「だから起きてよ。」と付け加えて、苦笑いしながらクラピカに視線を送った。
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あ - 本当に良い作品でした…名作。。完結お疲れ様でした。2024年ですが (1月16日 1時) (
レス) @page40 id: b41e70529d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - もう泣きましたよー！素敵な物語ありがとうございました。お疲れ様です (2022年7月15日 0時) (レス) @page49 id: c887a79125 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで何よりです(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 読んでいく度に続きが気になって夜更かししてまで読んでました笑めっちゃ面白かったです！！これが初めての作品だと…？！文才、めっちゃありましたよ…！今更ですが、完結お疲れ様でした！かにかまさんの他の作品に行ってきます！ (2021年5月28日 18時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - るきさん» 素敵なコメントありがとうございます。最近はH×Hに疎遠になってしまっているのですが、いつか機会があったらまた書きたいなと思っています。気長に待っていただけたら嬉しいです(^^) (2020年11月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2019年12月15日 7時
