#219 ページ33
病室に向かうと、大人しく目を瞑るクラピカが居た。
「毎回体調崩しやがって、誰が看病してやると思ってんだ。」と愚痴るレオリオに、「でもこれがきっと最後だよ。」と返す。
それもそうだな、と笑いながら彼は布巾を氷水に浸けた。
レオリオ「原因は疲労と念の使い過ぎだな。」
「やっぱり。」
レオリオ「俺が思うに死ぬことは恐らくない。…だが、このまま植物人間になったとしても可笑しくねぇ状態だ。」
「そっか、植物人間かぁ…。」
すやすやと眠るクラピカの前髪に触れながらそう呟くと、レオリオは優しく微笑んで私の頭を撫でた。
レオリオ「A、さっきはキツく言い過ぎちまったな。悪かった。」
「ううん、レオリオは悪くないよ。
寧ろ向き合う勇気をくれたことに感謝してる。」
レオリオ「…そうか。この馬鹿が勝手にしたことだ、あんまり思い詰めないようにな。」
勝手にしたこと…ねぇ。
最後の最後まで他人の命ばっかり考えて、勝手に救ってくれちゃって、本当にクラピカは馬鹿だ。
しかもこんな私のことを。
…そんな真っ直ぐな彼のことがどうしようも無いくらいに好きな私は、もっと大馬鹿者だ。
レオリオ「…なぁA、コイツに真っ直ぐ向き合ってやってくれねぇか。」
難しい顔をした私に、そうっとタイミングを伺うようにして彼はそう尋ねた。
触れられたくなかった話題に、つい口を噤んだ。
(分かったようなこと言わないでよ。)
向き合うことが出来たらどんなに楽だろうか。
単純な嫉妬心で、いとも簡単に彼を置いていった二年間を忘れられたら…
人を信じることが出来たら…
考えれば考える程に訳が分からなくなってくる。
代わりに思い返したキルアの言葉を借りて「…目を覚ましてくれるまで待つよ。」と返すと、レオリオは優しく頷いて私の頭をまた撫でた。
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あ - 本当に良い作品でした…名作。。完結お疲れ様でした。2024年ですが (1月16日 1時) (レス) @page40 id: b41e70529d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - もう泣きましたよー!素敵な物語ありがとうございました。お疲れ様です (2022年7月15日 0時) (レス) @page49 id: c887a79125 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで何よりです(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 読んでいく度に続きが気になって夜更かししてまで読んでました笑めっちゃ面白かったです!!これが初めての作品だと…?!文才、めっちゃありましたよ…!今更ですが、完結お疲れ様でした!かにかまさんの他の作品に行ってきます! (2021年5月28日 18時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - るきさん» 素敵なコメントありがとうございます。最近はH×Hに疎遠になってしまっているのですが、いつか機会があったらまた書きたいなと思っています。気長に待っていただけたら嬉しいです(^^) (2020年11月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2019年12月15日 7時