#133 ページ23
クラピカside
胸板というには十分すぎるくらいの厚みを帯びた奴の胸がその刃を飲み込むと、流石に強靭な彼もゔっ…と苦しそうな声を出した。
クラピカ「これから私がいくつか質問をする。お前がもし私の命に従うのであれば、その命は守られる。しかしながら、私の命に逆らえば、今突き刺した刃がお前の心臓を貫く。」
ウヴォーギン「ははっ、大層なこった。」
反抗的に笑って、奴は口から血を吐いた。強がってはいるけど、そんな彼でも事の勝敗、そして自分の立ち位置をもう自覚している…何となくそう分かった。
クラピカ「まず1つ目だ。お前はAの過去をどれくらい知っている。」
ウヴォーギン「どれくらい…つってもなぁ。まぁ、それくらいなら話してもいいか。旅団も設立当初は金が無くてよぉ、出稼ぎに他の賊の手伝いをしてたんだ。12年前、団長の知り合いの男に頼まれて、アイツを捕まえて引き渡した。ただそれだけだ。」
クラピカ「随分と明確に覚えているんだな。」
ウヴォーギン「あぁ、強かったからな。」
クラピカ「強かった…？Aがか？」
ウヴォーギン「いや、アイツの母親がだよ。あれにはだいぶ手こずった。」
クラピカ「それではその男は今どこで何をしている。」
ウヴォーギン「最近旅団の方が忙しかったから全く知らねぇな。…まぁ、アイツは気味の悪い男だったからよ、Aには同情するぜ。」
…コイツにまで同情されるなんて、Aは一体どんな日々を過ごしていたのだろうか。
意図せずとも鎖に込めた力が強まった。
クラピカ「2つ目にだ、お前はクルタ族を知っているか。」
ウヴォーギン「クルタ…？知らねぇな。」
コンタクトレンズを外し、怒りに染ったその瞳で睨みつけてやると彼は心当たりがあるのかニヤリと笑った。
ウヴォーギン「あぁ、その目、思い出した。キレると目を真っ赤にして大暴れする奴らだな。アイツらも強かった。」
クラピカ「…お前達は殺した人間のことを覚えていないのか。」
ウヴォーギン「考えたことも無かったな…まぁ、強かったやつは覚えてるぜ。」
私がこんなにもお前を殺めることに動揺しているというのに、お前はその手で握り潰した幾多の命を覚えてすらいないのか。
…そう思うと煮えたぎるように怒りがふつふつと湧いてきた。
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かにかま(プロフ) - みなみさん» 初めまして、素敵なコメントをありがとうございます(^^) 最近はプライベートが色々と忙しいので更新頻度が低いのですが、お付き合い頂けたら嬉しいです。 (2019年11月16日 22時) (
レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - コメ失礼します…！とっても面白いです！！すごい好きです！これからも頑張ってください…！！！ (2019年11月16日 22時) (レス) id: 1440843f6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2019年10月6日 23時
