番外編#3 反省の色なし ページ34
イルミ「A、こっち来て。」
「?はい………わっ!?」
仕事帰りのイルミさん。
何の用かと思えば、急に私を抱きしめて黙り込んでしまった。
「あのー…イルミさん?お疲れですか?」
イルミ「煩い。」
「えぇ…」
百歩譲って急な抱擁を許したとしても、御屋敷の廊下しかも人通りが多いど真ん中でこんなことをするのは解せない。私にも人並みに羞恥心ってやつがあるのだ。
「や、やめてくださいよ。こんな所で。」
イルミ「何で?俺の家なんだから安全だろ。」
「セキュリティ的な問題では無くてですね。」
生暖かい執事さん達の視線、鋭く突き刺さるキキョウさんとカルトちゃんの眼差し。
(だ、誰かヘルプミー。)
私のストレスが最高潮に溜まりかけた時、廊下の隅から影が覗いたのに気付いた。
(もしかして、キルア君とミルキ君かな。)
その勘は正しく、現れた二人は相変わらずの口論を繰り広げている。
こちらに気付いた様子のキルア君は、軽く会釈をすると直ぐに通り過ぎようとした。
(スルーかい!)
気に食わなかったので彼の首根っこを掴んで引き止めてやると、巻き込むんじゃねぇと言わんばかりの鋭い視線を向けられる。
「助けてよ。」
キルア「嫌だよ。アンタの男だろ。」
「君のお兄ちゃんでしょ。」
キルア「知らねー。」
「この際ミルキ君でもいいから!!」
ミルキ「おまけ扱いするんじゃねぇ。」
何事も無かったかの様に喧嘩を再開し、離れていく弟くん達。いつの間にか気を利かせて執事さん達も居なくなっていた。
「…もう、困ったなぁ。本当面倒くさいんだから。」
イルミ「でも、その面倒くさいのが好きなんだろ。」
「ふふふ、困ったことにね。」
彼がこんなに甘えたになるのは珍しい。きっと仕事で鬱憤でも溜まったのだろう。
二人きりならこんなことも良いかな、なんて彼の背中に手を回すと、それを合図にするように彼は顔を近づけた。
?「イルミ、そこで何してるんだ。」
「…____うわっ!?」
いきなり聞こえてきた野太い声に驚いて胸板を突き飛ばすと、彼は舌打ちをした。
シルバ「あー…あまり君達の付き合いに口出しはしたくないのだが……」
「…すみません。」
イルミ「ちぇ、いいところだったのに。」
…………君はもう少し反省ってやつを知った方がいいと思うよ。
あの兄弟にして、あの奥さん。
少しだけシルバさんに同情してしまう私なのであった。
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かにかま(プロフ) - セナさん» コメントありがとうございます。誉められて伸びるタイプなので、そう言って頂けて嬉しいです笑 (2020年6月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - あまりに面白くて一気読みしてしまいました!素敵な作品をありがとうございます! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 9a1a35c746 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - たまご登りさん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです(^^)ソイヤッ (2020年4月28日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
たまご登り - めちゃくちゃ良いですね!!!!コミカルさもありつつちゃんと展開がされているところに作者様の賢さが見受けられました!!とても楽しくキュンキュンしながら拝読しました(^o^)ソイヤッ (2020年4月27日 0時) (レス) id: 080b2c3a82 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - わちこさん» コメントありがとうございます。応援して頂けたてとても嬉しいです(^^) (2020年4月24日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年3月22日 17時