出口 ページ44
『中也は、わ、私を貰ってくれるんでしょ!?私を置いて勝手に死んじゃ駄目!』
中也の頬が少し赤く染まり、瞳が見開かれた。
中也の命を繋ぎ止めるためには、これが最善だと思った。本人に生きたいと思ってもらわなければ、どうしようもないから。
…それに、私自身に枷を嵌めるためでもある。責任を全うするための。
ーー
ー
『中也の刑はいつ執行されるの?』
「例の人魚でございますか?7日後の予定でございます」
『そう…ありがとう』
牢獄の階段を上がった先にいる警備に話を聞く。もう一刻の猶予もない。
「A様…いくら太宰様と国王の命令だとしましても、友人の刑は、さぞお辛いでしょう…」
そう言って本当に苦しそう顔を歪ませる彼。普段からよく真面目に働いている姿を見かけることが多い。
この人は、優しい人だな…
『うん…初めて聞いたときは心臓が張り裂けるかと思った。でも、できる限りの事はやるつもりよ。中也は単純な性格で少し荒々しいけど、一緒にいてとても楽しい人なの』
「…そうですね。恐れ多いのですが、私も中也さんとA様はとてもお似合いだと思います」
『…!あ、ありがとう』
自分の頬が熱く感じた。
おかしいな…中也のことは、あくまで国を守るためであって、私は確かに治を本命に選んだはずだけど…
ーー
ー
in 自室
部屋に戻ると誰もいなくなっていた。一応部屋の隅々を確認してから、鍵を閉める。
まずは人魚が皆殺しにされる前に、どうにかして仲間の人魚たちに遠くの海へ避難するよう伝えたい。
すぐにでも海辺へ行こう。
そう思い、窓から砂浜を覗いた。
『えっ』
いつでも降りられるようになっていたそこは、頑丈そうな仕切りが建てられ、海に入れないようになっていた。
きっとこれも治が行動を読んで…。きっと、どんどん私の行動範囲を狭くされる。
『お城にいたら、自由に動けない…』
だからといって、堂々と門から出ることもできない。見張りはうじゃうじゃといるのだから。どうしたものか。
どこか、治の手の届かないところ…
ザザー…ン…ッ…ーーー
波の音が耳に入り、ふとバルコニーから下を見下ろす。バルコニーは、海へ突き出ている。すぐ下は、海…
『……見つけた』
客観的なもう一人の自分が己の考えにドン引いたが、構ってられない。
出口は、ここだ。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時