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k『お店から近い所にした』
「そう」
家具家電つきの、単身用のマンション。
来月から彼は、ソコに住む。
k『たまには来てくれる？
ちょっと……遠いけど』
カレーの皿をつっつきながら、目線を上げた。
「うん。お店も見たいし」
よかった。って小さく言うと、弱く笑って。
スプーンを口に運んだ。
・
・
・
k『あの、さ』
テレビのリモコンを取ろうと、手を伸ばした時。
彼が、その手をとった。
「ん？」
咳払いをすると、ソファからおりて。
目の前に、正座をした。
「なに(笑)」
さっきみたいに、目線だけ上げると。
つかんだ手を、ぎゅっとにぎった。
k『その……あれだよ。
俺あっち行くけど。変わらないから』
にぎっている手が、しっとりと汗をかいて。
彼が、何か。
大切なコトを。
伝えようとしているのが解る。
k『だから……先輩も。変わらないでいてほしい。
会いたいと思っても会えないし。
触りたいと思っても触れないし。そんなのちょっと……すげームリだけど。けど。気持ちはなくならないよね？』
恥ずかしくなるくらい、まっすぐな。
強くて、優しい彼の気持が。
ちゃんと、伝わって。
この人でよかった。って。
いちいち思う。
「うん、」
喉の奥が、熱くなって。
視界が、少し。ぼやける。
k『予約する』
「え？」
k『この手に触れるの俺だけだし。
この指もこの指も、全部俺のだけど。
ここ。予約しとくから』
そう言うと、スウェットのポケットに手をつっこんで。
おさえていた指を引っ張った。
k『今これしかないけど。これ、仮だから。
次はちゃんとしたやつ渡したい』
引っ張られた指に。
見覚えのあるリング。
お祭りの夜店でみつけた、
三日月のモチーフが、ひかえめについている。
飾っておくって言ってたのに。
どんどん、喉の奥が熱くなって。
さっきより、視界がぼやける。
今言葉を発したら、きっと。
うぅん。
絶対泣いてしまう。
k『もらってくれる？』
笑いたいのに、上手く笑えない。
だから、そのかわりに。
首を縦にふった。
のに。
k『よかっ、』
薬指をつかんだまま、
ゆうた君が、泣き出した
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とあ(プロフ) - ユウさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。いただいた感想を励みに更新します (2019年4月1日 14時) (
レス) id: 86c2dc062d (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 物語の空気感というか時間の流れ方がとても気持ちよくて一気に引き込まれました！岸くんの後輩感と男の子感と男の人感が可愛くて優しくて素敵な作品だなと思いました！！！今後の2人がとても楽しみです！ (2019年3月31日 20時) (レス) id: 111293a5e5 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - いっくさん» ありがとうございます。気ままに更新ですが、見ていただけて嬉しいです (2019年2月12日 7時) (レス) id: 86c2dc062d (このIDを非表示/違反報告)
いっく(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。岸くん大好きなので勝手にキュンキュンしちゃってます！ (2019年2月11日 8時) (レス) id: c15603ea35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とあ | 作成日時：2019年2月7日 22時
