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風磨「ごめん、A…」
その言葉に はっとなる。
ぎゅっと手を両手で包み込まれた。
大好きなはずなのに そんな風磨くんに恐怖心をときどき抱いてしまう自分が嫌。
「わたしこそ……ごめんね…、、」
上手く喋れてるかな…
それさえも微妙
なんとなく 目は合わせられなくて、視線は下に下げたまま
すると 風磨くんがそばにあったティッシュを一枚取り それで そっと私の唇を拭いた。
「ぇ……」
風磨「ごめん……
また、Aのこと…怖がらせた…」
「わ、わたしは、大丈夫だよ…！
大丈夫……」
風磨「そんな震えてる声で言われても信用出来ねぇから…」
「ほんとだよっ…！！
風磨くんなら…怖くない……」
嘘だ。
怖かった。もしかしたら アレが始まってしまうのかもしれない、と考えると恐怖でいっぱいだった。
私が1年生だったとき、風磨くんが2年生だったとき
風磨くんの誕生日の日に約束した、
お互いが高校卒業するまでは そういうことはしないって
風磨「Aが高校卒業するまでは…我慢…だから…
ごめんな……」
「ぃや……」
よかった…覚えててくれた…
そりゃそうだよね、風磨くんだもん。
風磨「…よし！なんか食うか！
腹減ったろ？」
ぽんぽん、と優しく頭を撫でてくれる。
ぐぅー…
風磨「ふはっ、今のA？笑」
「あっ」
思わずお腹を押さえる。
安心したのか急に空腹感が…
風磨「さっき買い物してきたんだよね、
ハンバーグ作るわ！ちょっと待ってて」
「…待って…！！」
立ち上がる風磨くんの服の袖を掴む
風磨「ん？」
「もう一回…」
風磨「え…？」
「さっきの…もう一回…」
風磨くんとキスすることは怖いことでもなんでないの…きっと…
だから、さっき唇を拭かれてしまったのが少し悲しかった。
無かったことにしようとしてるみたいで…
さっきよりかも ほんの一瞬だけ触れた唇
でも…それだけでも、胸がいっぱいになれた。
風磨「ハンバーグ作りますよ〜」
「私も、手伝う…」
風磨「んふ、おいで。」
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作者名：ゆう | 作成日時：2021年1月7日 23時
