第5話 ページ6
同時刻、総統室ではグルッペン･フューラーが不安に満ちた眼差しで外を眺めていた。理由は大切な仲間が昨晩から行方不明だからだろう。
｢どこへ行ったんだA…｣
グルッペンがぼそっと呟く。デスクには本来この時間には整理し終わっていたであろう書類が、一切手がつけられていない状態で乱雑に置かれていた。
ｺﾝｺﾝ
ふと、静かな総統室にノックの音が響き渡った。
｢入れ｣
その一声を聞き総統室へ入ってきたのは、我々軍幹部であり書記長でもあるトントンだった。彼もどこか心配そうな表情を浮かべていた。
｢まだ、A見つかっとらんって｣
Aが姿を消してから約14時間が経過した。幹部達でくまなく探しているが、まだ手がかりすら掴めていないらしい。
｢そうか｣
視線をトントンに向け、グルッペンは一言そう返した。そんな彼を見つめながら、トントンは続けて報告をする。
｢ロボロが城内と城外の監視カメラをくまなく見たけど、そこにAの姿は映っておらんかった。多分アイツ、監視カメラに映らず外に出られるルートでも見つけたんやないかな。ったく、あんだけ深夜の外出は任務以外禁止言うとるのに…帰ってきたら2、3発ど突いたろ｣
口角を上げ、冗談混じりに話すトントンであったが、彼の目は全く笑っていない。
｢…やはり連れ去られたか｣
グルッペンの言葉にトントンは｢可能性は高いと思う｣と答えた。
我々国はかなりの戦力を持った国家で、他国からは常日頃警戒されている。かつ、戦争を好む国家でもあった為、それを良く思わない他国がスパイや暗殺者を城下街に送り込むことは少なくなかった。
以上の理由も相まって、やはり連れ去られたという推測に行き着くのが自然であろう。しかし当の本人は連れ去られてなど無く、まだこの国内に、城下街に存在した。
｢ロボロに"我が国に攻撃を加える可能性の高い国"を洗いざらい調べるよう伝えてくれ｣
｢…了解｣
トントンが部屋を出た直後の総統室は、再び先程と同じ静寂に包まれていた。
｢…そういえばお前は昔から寂しがり屋だったな｣
グルッペンはガラス張りの大きな窓に背を預け、まるでそこに居ないAに語りかけるような、そんな口調で呟く。
｢すぐに見つけ出してやるから待ってろ｣
グルッペンはそう決心し、デスクに置かれた他国についての書類へ手を伸ばした。
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椿 - おもろすぎて周回してrワン！ (2021年4月24日 11時) (
レス) id: 37e6844d54 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 続きが気になりワン！ (2021年4月8日 20時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
秋刀魚大好き民 - ｱｧｰwrwrdﾄｳﾄｲﾖｫ!皆さんどうしたんでs ワン！ (2019年12月31日 15時) (レス) id: 3cfb10bf82 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！！！更新頑張ってください！！応援してるワン！！！ (2019年12月2日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
snow - 自分のペースで更新頑張ってくだs…くぅーん(a国にいってもポチはついていきそうですねw) (2019年11月9日 16時) (レス) id: a79ef504eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつお | 作成日時：2019年5月19日 7時
