36話 ページ6
カルエゴとAが言い合っていると、サブノックが己に任せろと入間に近づいていく。
そんな得体の知れないものに、そう声を掛けようとした瞬間に影にかぷりと食べられ膝から崩れ落ちた。
サブノック自身も何が起こったのかわかっていないらしい。頭に??を浮かべ驚いていた。
その様子に、Aはもしかしてと仮説を立てる。それを口に出そうとした瞬間次にアスモデウスが入間へと近付いた。
だが、また同じように影に噛みつかれ倒れ込んでしまう
やっぱりこの影は…
「だ、大丈夫です入間様…どうやら魔力を吸われたようですが……」
「やっぱり」
人間である入間が、他の悪魔たちの影の叫び声が全く聞こえない、つまりはこの影は“悪魔”に対して何が害をなす存在。
入間は人間であるから、何も被害がないだけだ
噛まれると力を失うというのは簡単に考えて魔力を吸われているということだろう
隣にいたカルエゴが入間へと近付き肩に触れた。
何か嫌な予感がする
「おい、入間。ちょっとよく見せ…」
“バクン”
ぞわりと、背筋を這い上がる悪寒。
影が、カルエゴの腕を食べた。
いや、食べているように“見えた”
それは紛うことなき影の威嚇である。
当然ながらカルエゴもその威嚇を感じ取り、同じよう光景を見たようだ。
自分の腕をさすり、食われていないことを確認した。
すると、細められる目。
まずい。今、カルエゴは入間のことを粛清対象だと思い込んでしまった。
取れない指輪ならどうするか?それは勿論腕を切り落とす他ない。
確かにほかに方法は浮かばないが、そんなことさせれるわけが無い。Aは足を動かし、カルエゴのところに行こうとするが時間が無い。
まずは、声で止めなれば
「カルエ…」
名前を呼ぼうとした瞬間、ぽんと誰かがAの肩に触れた。
「…え?」
「こーらっ、それはダーメ」
「「サリバン理事長!!」」
カルエゴとAの声が被った。
「もうっ、カルエゴ君たら今入間くんの腕ごと吹き飛ばそうとしたでしょ!」
「…生徒たちに危険が及ぶと思ったもので」
「すっごい嘘くさいしその嘘つくぐらいなら顔をどうにかしなよ」
舌打ちをしながらそんな事言われても全く言い訳になっていない。
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作者名:野崎 | 作成日時:2020年1月31日 4時