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私はゼェゼェと息切れしながら、小走りで廊下を移動した。
やはりズボラな研究員なもので、少し走っただけでバテてしまったらしい。帰ったら日課に運動を取り入れるべきかもなあと思いはしたが、結局は取り入れることはないだろう。
ガスマスクを外し、城の最深部へ進む。
彼の居場所は分からない。
しかし、なんとなく自分の勘がそこにいると言っている。
鬱の時も勘が冴えていたのだから、可能性は決して低くないだろう。
私は流石に疲れたので、走るのをやめて歩くことにした。
｢見〜つけたァ！｣
｢ぅわっ！！！、？｣
突然背後から声がして、振り返ろうとしたが瞬時に首元に腕をまわされる。きつい香水の匂いが私を包んで、一瞬で気持ち悪くなって顔を歪ませた。
彼女の細い腕が私の首を軽く絞めている状態で、私は彼女の腕を両手で退けようとしたがまるでびくともしない。彼女は味をしめたように徐々に力を強めてくるので、息苦しくなって両手の力が弱まる。すると彼女は突然腕の力を緩め、私の首を絞めるのをやめた。
｢っごほっ、ごほっ｣
｢弱いわねぇ〜。こんなの私でも殺れちゃう｣
｢っ……ぅ、｣
｢大丈夫？｣
私の首元から腕を退け、するりと頬を撫でられる。
彼女の甘ったるいその声には聞き覚えがあって、息を整えながら横目で彼女の顔を盗み見た。
｢久しぶりね。どお？スパイ生活、楽しかった？｣
｢………あなたが命令したんですか｣
｢ええ、そうよ。まああの子は殺しちゃったけど｣
彼女は清々しい表情でそう言ったので、思わず流されそうになった。
｢まさかダチュラさんを………？｣
｢あなたどころか研究員みんな取り逃したからよ。やだ、情がわいた？あなたそんなんじゃ軍やってけないわよ｣
確かに私は少なからずダチュラを恨んでいた。
あんなに人の良さそうな顔をして、私に近付いて信頼を勝ち取った末に盛大に裏切られてしまったのだから。
しかし彼女と過ごした休日やお茶会は中々楽しいものだったし、私は恨みに恨みきれずにいた。
それなのに、彼女はもうとっくに目の前の女に殺されてしまったらしい。
私は一発彼女を殴ってやろう(チキン)と思っていたが、それももう叶わない願望だということだ。
｢優しいのね。でも心は捨てなさい。そういう世界よ、特にここの国はね｣
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あまね(プロフ) - 完結！おめでとうでふ！ (10月29日 11時) (
レス) @page27 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
パリラ - 凄いですね、、、もう本当に好き過ぎて一日で読み切りました！ (8月30日 10時) (レス) @page27 id: 326cf2b718 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖 - これめっちゃ前に見てそれからずっと探してたんですけどやっと見つけて徹夜で読みました、、！！スリルがあって何より菊さんが好きすぎて！！最高でした！！素敵な作品をありがとうございます！ (2022年5月4日 4時) (レス) @page27 id: 1132857e69 (このIDを非表示/違反報告)
輝月(プロフ) - 久しぶりに占ツクに戻ってきたら好みの作品見つけて一気に読んでしまいました！これは今後がとっても気になります！素敵な小説をありがとうございます！ (2021年7月22日 21時) (レス) id: 4cc550c3ab (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - みちゃくちゃ好きな作品！！！！完結？おめでとうございます！！オチ…みたいけどTwitterやってねぇ…！！ｸｿｩ…他の作品でも頑張って下さい… (2021年6月25日 22時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚
| 作成日時：2021年3月23日 9時
