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きゅ、と握られている手が冷たい。
ゆるやかに力をこめられたと思えば、親指で撫でるように私の指の第一関節辺りをなぞった。
顔は見えないが、声色は明らかに落ち込んでいる。
嫌われたくないのならば、あんなことをしないで欲しかった______とは口に出せず。
彼も任務なのだろう。だからといって先程の行為を許せるはずも無く、ぐっと手に力を込めた。
「……………痛い、爪食い込んどるんやけど。」
「川田はもっと痛かった。あなたに足を折られて」
「…すまんかった。ごめん」
「…………え、あ、ぃや…」
素直に謝られると面食らってしまう。
思わず、手に込める力をゆるめてしまった。
気まずい沈黙が流れていると、手に力を抜いて手の繋ぎ目を解く。
目的地に着いたのか、一室の扉の前で止まっていた。
「着いた。グルさん」
「いいゾ、入れ」
コンコンコン、と3回のノックの後に、低いバリトンボイスが扉の向こうから聞こえる。
キィ、と彼が扉を開けると、中央に堂々と座る金髪の男が見えて、思わず息をのんだ。
ぽん、と背中に手を回され部屋に押し入れられる。
入ると、室内には5人の男がその金髪の男を囲うようにして立っていた。
目の前の男がこの国のトップだということは、一目瞭然だった。
私が呆然と棒立ちしていると、後方にいた1人の男に背中を蹴られ、床に両膝をつく。
「まずは、ようこそw国へ。長旅ご苦労だった」
「……………何がしたいんですか?」
「ああ、まずはお礼からだな。ゾムとトントンを助けたのは君だろう?礼を言う」
彼は話を聞かない質らしい。私の話に耳を傾けず、そのまま自分のペースで話を続けている。
そんな彼に抗議の声を出そうと思ったが、自分の後方にいる男は私に銃口を向けていた。下手なことを言えば一発で仕留められてしまうらしい。
ぐ、と押し黙ると、見計らったように口角をあげる。
「何がしたいか、か………。俺は君たち研究者達の力が欲しかった。ただそれだけだ」
「は………?私達でなくとも、他に有能な人材はいくらでもいます」
「本当に謎なんだが、君達は自分の能力を理解していないようだな。ここで言っておこう。君達はこの近辺、いや世界でも五本の指に入るレベルの薬品を作っている」
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宇琉夜ハル(プロフ) - 後 side ほしいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 後名前がわかったら zm「あ」 見たいなん欲しいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 出来れば夢主のセリフ『』こうしてください 時間があればでいいんで (2021年4月30日 18時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 晴さん» それは良かったです!!ありがとうございます!めちゃくちゃ遅れましたが見てますよ!!!頑張ります!!! (2021年2月21日 20時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 通りすがりの亀さん» 最初はその予定でしたが、主人公が後悔することのないようにヘイトを向けさせて上層部をクズに仕立てあげました(^^ ありがとうございます!頑張ります!!! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚 | 作成日時:2021年1月31日 9時