醜い少年の話【ヒロアカ】 (ページ16)

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Story.16 ページ16

ボール投げでは、重力系統の個性持ちの生徒がいたおかげか、一生お目にかかることがないであろう「∞」という記録を見れた。

そして次々と記録を出していく中、隣にいた男子生徒がこんなことを呟く。

「緑谷くんはこのままだとマズいぞ…？」

「ったりめーだ、無個性のザコだぞ！」

”緑谷”……今ボール投げをしようとしている、冴えない見た目のモサモサ頭のことだろうか。

そういえばあいつ、大して記録残せていないな。普通の体力テストならいい記録なんだろうけど、もし個性を使ってソレ(・・)ならかなりやばいと思う。

隣の爆発ボーイはその緑谷を「無個性のザコ」と告げている。そもそも無個性で雄英に入れるわけないんじゃ無いか、知らんけど。

仮に無個性だとしても、それでヒーローを目指すなんて馬鹿げてるだろ。

「無個性！？彼が入試時に何を成したか知らんのか！？」

「は？」

話の食い違いが起きているっぽいが、それは置いといて。

相澤が妙に緑谷の方を凝視しているように見えるのは気のせいか。いや気のせいじゃないな。

そんな時、緑谷は大きく振りかぶり____普通にボールを投げた。

記録は「46メートル」。
個性無しだったらコレが平均的なのだろうが、多分ここでは最下層の記録だ。

……ああ、多分個性を使おうとしていたのだろうな、と察した。

相澤が、個性を使っている。
あいつが個性を使うときは、いつも髪の毛が重力に逆らうように上を向いているのだ。

視ただけで人の”個性”を抹消する”個性”！！
抹消ヒーローイレイザーヘッド！！！

と、誰かによって行われたイレイザーヘッドの紹介が終わると、こちらの方でもざわつき始めた。

「イレイザー？俺…知らない」

「名前だけは見たことある！アングラ系ヒーローだよ！」

俺は生で監視されてたことあるぞ。
なんて口が裂けても言っちゃあいけないんだが。

知名度が低いのは、メディアへの露出を嫌っているからか、はたまた単に活動が少ないからなのか。

世間に疎い俺は、そのどちらなのか分からなかった。

緑谷が、説教らしきものか除籍宣告か、どちらかを受け終わり、2球目が始まる。