赤い人と私【レッド】 (ページ16)

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13日目ページ16

中へ入ると当然どこを見てもロケット団ばかり

「あん時と変わらずダッサイ格好してるよなぁ…」
「それは今更…」
「ははは…」

否定できずに苦笑いして居ると二人のしたっぱらしき人物が不意にこちらを向いた

「なっ！お前ら、何者だ！追っ払ってやる！」

言うが早いか二人のしたっぱは自らのポケモンを出した

「あーあー？やめときゃいいのに。この最強ジムリーダーのグリーン様に挑戦するなんざ」
「…倒す…」

対するこちらはグリーンとレッドがそれぞれ相手をするようでグリーンはカメックス、レッドはリザードンを出した
明らかなレベルと経験の差から一瞬のうちに勝負は決した

「さすがだな、二人とも」
「"カントー最強のジムリーダー"に"原点にして頂点"ですもんね…相手がかわいそうと言うかなんというか…」
「頼もしい限りじゃないか」

グリーンとレッドが先陣切って敵を次々に倒して行くため全く出番がない

(これ私、もしかしている意味ない…？！)

その事実に軽くショックを受けていると分かれ道に出た

「どっちに行くか…二手に分かれるか？」
「その方がいいかもしれんな。じゃあ俺とグリーンくんは左へ行くからレッドくんとAくんは右へ行ってくれ！」
「分かりました、気をつけてくださいね！」
「誰に言ってんだ、誰に。お前が一番気をつけろ！」
「…行こう、A」
「うん！」

・・・・・・

「ねぇA」
「ん？何？」
「もしも…もしも、君のポケモン達がロケット団にまだ捕まってるとして、Aはどうしたい？」
「ここに来る前にも言った通り助けたいに決まってる。その為にここへ来たんだ、レッド達と。1人じゃ出来ないから、絶対に助け出したいから…！」
「そう、良かった気持ちが変わってないみたいで」
「私のポケモン達に対する愛情、舐めちゃダメだよ？」

少し戯けた風に言って見せるとレッドは足を止め

「わかった、覚えとく。…でもこれだけは約束して」

そう言いながらレッドの左手が私の右頬へ触れる
まるで割れ物を扱うように優しく、そして紅い瞳が私を捉える
瞬間、私は体が自分のものでないような感覚に陥った

「無茶はしないで、例えそれでロケット団から世界が救われるとしても…」

右頬にあった左手が後頭部へ回りレッドの胸板へ押し付けられた
すなわちそれは"抱き締める"という行為で突然のことに私は軽くフリーズしてしまった