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「……よォ」
風が吹き荒ぶ。
「また会ったな、A」
惚れた男に、名前を呼ばれる。
……ときめける状況では、到底ないけれど。
「運……悪かったわね」
烈しい銃声と金属音が鬱蒼とした林に響く。
慄いた鳥はどこかへ飛び去り、獣の一匹も出ない。
そこらには倒れる部下たち。
「……さすがはロロノア・ゾロ」
素早く弾倉を取り替える。
私の武器は、銃が一丁と利き手に匕首。
本来は自決用だけれど、自決なぞするつもりは毛頭ない。
いくら格上だとしても、
──いくら惚れた男でも、
負けてやるつもりも、逃がすつもりもない。
「さっさと……捕まってくれないか……なっ！！！！」
キン！！！！！！
刃が交わり、白い火花が弾ける。
「何だ……オレに惚れてるんじゃねェのか」
「もちろん好きよ。だからこそ、私が捕まえたいの」
酒場の時よりも間近にある顔。
胸が高鳴らないわけではないけれど、
私の理性は、海軍の中でも一等級なのだ。
どれだけ理不尽を言われてもヒステリックにならず、
淡々と、実績でものを言う。
全員、力で捩じ伏せる。
それが、私だ。
そうでなければ、二年で支部少将になど上がれない。
……本部大佐になった同期もいるにはいるけれど。
とにかく、私もあの男達も、死に物狂いで働いた。
雑用も潜入も何でもやった。
己が掲げる正義のために。
「私、強くなったのよ」
──あなたに、見合う女になるために！！
匕首と銃で、それぞれ一振ずつを受け止めている。
この状況を打破しなければ。
ロロノアはニヤリと笑って、不意に力を抜いた。
少しだけ、バランスを崩す。
その少しを、ロロノアは逃さなかった。
「──ッ！！」
銃が弾かれ、遠くに飛ばされる。
そして匕首を持つ手を強引に背に回され、
「オレが強くした海兵か……悪くねェな」
ロロノアに、拘束された。
強制的に身体の挙動が停止し、
そこでやっと自身の息が上がっていることに気づいた。
ロロノアは、汗ひとつかいてないというのに。
さすがはロロノア・ゾロ。
それ以上に──ひどく、悔しい。
ロロノア・ゾロという男に対する恋慕の情と、
海賊を屠るという己の信念が綯い交ぜになっている。
「このまま連れ去っちまってもいいが……まァ、
暫く追いかけられんのも悪くねェ」
ロロノアは私への拘束を解くと、
即座に距離を取って、姿を消した。
「またな、A」
あの日の酒場と同じ台詞を残して。
「〜〜くそ、かっこいいな……」
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星波(プロフ) - お菊推しさん» 初めまして！閲覧ありがとうございます。申し訳ございませんが、リクエスト等は受け付けておりません。書きたいと思うことがあれば書きますし、それがなければ書かないと思います。申し訳ございません。 (2022年9月5日 23時) (
レス) id: 99055290f6 (このIDを非表示/違反報告)
お菊推し(プロフ) - あのすみません､お菊って出来ますか？あんまり夢小説で見たことがなくて聞いてみたのですが。大丈夫でしたでしょうか？ (2022年9月4日 9時) (レス) id: c04714e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：烏丸 | 作成日時：2022年8月2日 23時
