【ルフィ】血が通う ページ19
最低な父を持った。
男尊女卑の激しい国の宰相だった。
悪政の王に仕え、良からぬ事を数多も働いた。
母を死に追いやり、私を欲の捌け口にした。
あの男の実の娘であることが、私の最大の汚点である。
……だから、それを隠してこの船に乗っている。
海賊"麦わらの一味"の船だ。
船を乗り継ぎ乗り継ぎ、とある島で彼らに拾われた。
今や、故郷の場所さえわからない。
そう、思っていた。
「おいナミ！あそこに島があるぞ！」
キャプテン。
「そろそろ食糧も調達しねェとだ、寄ろう、ナミさん♡」
コック。
「そうね、あんまり危険もなさそうだし行きましょう」
航海士。彼らの目線の先を、私も見遣る。
────と。
「……あれは、」
「ん？Aちゃん、顔色が悪ィが……」
サンジさんが心配そうに側に寄る。
その声を聞いて、ルフィさんも。
「A？どうした、どっか悪ぃのか！？」
その真っ直ぐな眼を、直視できない。
「あれは、私の……故郷の、島」
故郷を逃げ出して二年ばかり。
どうなっているだろうか。悪政は続いているのだろう。
父に見つかったら、また、あの地獄の日々だ。
宰相の娘として疎まれ、家では父親に好きにされる。
「……いやだ」
嗚咽のような声が漏れた。
身体が、船が近づくにつれ上手く動かなくなる気がする。
「……る、ルフィさん」
「……どうした、A」
少し低くなった、落ち着いた声がする。
すべてを受け容れてくれるような、大海原のような彼に、
私は、何もかもを打ち明けた。
皆はただ、静かに聞いてくれていた。
泣きじゃくる私は、ルフィさんの腕の中にいる。
優しくて暖かい手が、私の背をぽんぽんと撫ぜた。
「……それで、お前はどうしたい？A」
「え……」
ず、と鼻を啜って、思わずルフィさんを見る。
彼は変わらず、私を真っ直ぐに見ていた。
「このままでいいのか？ほんとうに、島に寄らねェで、
全部見て見ぬふりすんのか？」
どくん、と心臓が脈打つ。
……いいわけ、ない。
正直、私自身故郷に思い入れはない。……でも。
故郷は……母が愛した国だから。
「……あのバカ王とクソ宰相を倒したい。
母が愛した故郷を、守りたいよ……！！！！」
彼の瞳を、真っ直ぐに見返す。
ルフィさんは力強く笑って、「あぁ、やろう！！」と、
私の手を取ってくれた。
とくんとくん、私の身体に血が通う。
私に温もりをくれるのは、いつだって彼だ。
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星波(プロフ) - お菊推しさん» 初めまして！閲覧ありがとうございます。申し訳ございませんが、リクエスト等は受け付けておりません。書きたいと思うことがあれば書きますし、それがなければ書かないと思います。申し訳ございません。 (2022年9月5日 23時) (
レス) id: 99055290f6 (このIDを非表示/違反報告)
お菊推し(プロフ) - あのすみません､お菊って出来ますか？あんまり夢小説で見たことがなくて聞いてみたのですが。大丈夫でしたでしょうか？ (2022年9月4日 9時) (レス) id: c04714e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：烏丸 | 作成日時：2022年8月2日 23時
