Buki Love 貴方は嫌な人 . (ページ29)

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増田side

「まったくー、まだまだだなぁ」

グラスの中に入った氷は、溶け始めていた。

桜「増田さーん、」ポン

酔いが回ってきたAさんは、俺の肩に
頭をポンと置いてきた。
いわゆる肩ズンってやつだろうか。

「なに？もう酔った？」

桜「全然、」

とろりとした目で見つめる君は、
俺の事を誘ってるようにしか見えない。

「もう帰る？」

桜「まだ、嫌」

と言って俯き首を振った。
Aさんが甘える姿は、
初めて見た。守ってあげたくなるとはこのことだろうか？

「まだ嫌なんだ〜？」

意地悪をすると君ははにかむように俺の
ことをポンポン叩いてきた。

桜「嫌だっていってるのに」

タメ口も、初めてで戸惑う。
普通だったら、怒るが何故か許せてしまう。

それも全部

「Aさんが可愛いせいだよ」

桜「ん？なんか言いました？」

敬語に戻ってしまった、ということにショックを受けている俺はかなりの重症かもしれない

「なーんでもないよ。やっぱ、明日も仕事だしもう帰ろっか。ね？」

桜「は、はい、」

Aさんは、寂しそうに言った。

「そんな返事しないでよ。俺も返したくないんだから」

桜「ま、増田さん……」

俺は会計を済まして、Aさんの元へ行った

「お待たせ。行こっか」

桜「はい」

彼女を家まで送った時、俺は気がついた。

「俺たち、同じマンションだったんだ……」

不意にも運命だと思ってしまった。