透明オルタナティブ弐【呪術廻戦】

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体育祭、と言ってもメインは3年生だ。


1年生はリレーや各種目に数名出るだけ。



踊ったり何か特別なことをしたりはないから、結構楽だった。




その間も呪霊は全く姿を現さない。

そういう噂もあまり聞かないし、生徒が突然消えることもパタリとなくなった。


これは体育祭以降も捜査だろうな、と勝手に予想する。



この学校での生活も楽しくなってきたけど、やっぱり高専に戻りたい。





「Aちゃん、次、騎馬戦の練習だって」

「今行くー！」





学校の人とこれだけの関わりを持ったのは初めてだから、Aちゃん、なんて呼ばれると少しくすぐったい。




本当に有難い事に、遊びに誘ってもらえたり、勉強教えてなど求められたりして。



理想の高校生活。


とはまた違った感覚だけど、私を出せている気がする。



前とは、随分と変わった。





「Aちゃんって結構運動神経良いよね。言ったことすぐ出来てる」





一緒に騎馬戦をやる子とハイタッチ。



五条先生にも言われた。


Aは成長のスピードが早い、と。



それが私の術式に関係あるのかなと思っていたけど、今のところなさそうなことも言われた。




成長のスピードが早いことは嬉しい。



最近、真希とも互角に勝負できるようになった。


勝てたことはないんだけど。





「おい、ちゃんとやれよ桜井」

「ごめんなさい……」





飛んできた罵声に後ろを振り向く。



ガラの悪い男子と、謝っている桜井さんの声だ。



私と話している時はあんなに笑顔だったのに


今はとても小さく見える。





「ったく、お前みたいな奴が桔梗さんと関わるから怒られてるんだよ」

「俺らでもまだ喋ったことないのにお前なんかが喋ってさ」





ケラケラ笑う声。


耳障りな声だと思った。

怒りが湧き上がってくる気がした。



桜井さんはその場から逃げるように去っていく。





「あいつ、桔梗さんの名前出すとすぐ消えるよな」


「っおい。桔梗さん聞いてるぞ」





人を侮辱するようなバカみたいな人に


自分の名前を呼ばれたくなかった。



大切そうに呼んでくれる人がいるその名を、汚されたくないと思った。





「……次、私の名前呼んだら喋れないようにするよ」





男子2人が息を呑むのがわかる。



私は実は、口が悪い。


けど、この時は、不思議と嫌な気持ちはしなかった。




逃げていく男子を後目に,私は桜井さんを追いかけて行った。




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