目眩 ページ25
*今回グロテスク要素が強いです
ドロドロとした液体が指に触れて気持ち悪い。それでも何とか、胃が空になるまで吐き出すと不意にコンテナの中のモノと自分の吐瀉物が鼻をつんざく。
「うっわ、何これ、」
ヌメヌメと光る液体がかかったソレに目を凝らした。
茶色くなったり、紫に変色した細長いソレ。枝のように折り重なったその一つをじっと見ると、何だか黒い模様が書いてある。隣の平べったいソレは何だ。緩やかなひだに、小さい穴や金属の輪がついている。
全て、人間のパーツだった。
吐くために頭を下げていたが、一気に顔から血の気が引いた。
死体なんかは闘争で見馴れているが、日常生活の中で突如現れるとなると話は違う。重い足を引きずるように少しずつ後ずさる。こめかみを脂汗が伝い、縮んだ心臓が揺さぶられたように身震いをした。
あと一歩でドアに辿り着くのに、足が進まない。腰からも力が抜けていき、喉が締め付けられる。
その時、ガチャリと音がしてドアが開いた。
「大丈夫かー、亮ー」
「水持ってきましたよー」
自分でも信じられない速さで、章ちゃんとマルにしがみつく。
「亮ちゃん何してんのー、そない水欲しかったーん?」
呑気な声を出すマルを思いっきり睨み付けると、眉毛が下がった。
すると章ちゃんが急に精悍な目付きになった。
「亮、何で震えてんの」
水槽から出された魚のように口をパクパクさせながら、今見た光景を伝えようとする。
「っそ、の、
コンテ、ナ、の中っ、に、
に、にんげんっ、が、
はいって、てん、」
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作者名:柳 | 作成日時:2021年3月2日 17時