Butterfly I Loved 【黄緑】 (ページ23)

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壊れるほどページ23

転々と住む場所を変えていた頃は、誰かに甘えるなど言語道断で、一人で生きていく術を身につけようと必死だった。孤児園に来てすぐの頃も、それは変わらなかった。

我慢して、我慢して、甘えたいという欲を押さえつけていた。そんな欲求にすら、見て見ぬふりをし続けた。

それでも、やはり、限界というものはある。

今度こそは大丈夫、自分だけでやっていける。

祈るように、刷り込んでいった言葉が頭の中で反芻する。

古い映画で見た、廃墟となったメリーゴーランドが、気味の悪いリズムで回り出す。今にも壊れそうな木馬に乗った自分がいた。

こうして、自分の欲を押さえつけた結果、高熱が出るのだった。そして、欲が溢れたように裕くんに甘えた。

裕くんに看病して貰ったあの時、孤児園を出てからかなりの時間が経っていたように思えたが、当時のように甘えさせてくれた裕くんを見て、自分が何も変われていない事を実感した。

こんな事になる前までは、なんとか上手くやれていたと思っていたのに。

きっと、孤児園にいたときのような話し方だったのだろう。大きく成長した体に反した振る舞いに困惑しただろう。

あの人だって、せっかく助けた奴がこんなんで呆れただろう。まだ体は本調子には戻っていないが、無理矢理にでも出て来て正解だったかもしれない。