Butterfly I Loved 【黄緑】 (ページ22)

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汗ばむページ22

三ヶ月に一回、半年に一回、とにかく不定期に、けれど、ある程度の間隔を空けて高熱を出すことがあった。

熱を出すことなんて、子どもにとっては日常茶飯事であるが、それにしては決まり事のように熱に苦しめられていた記憶が鮮明に残っている。

医者にはよく世話になった。毎度同じ解熱剤を出されて、額に熱冷まし用のシートを貼られた。

湿気を含んだ熱が、上へ、上へと昇っていった。

孤児園に入ってからも、ぎこちない日々を過ごした。時々、靴やクレヨンが無くなった事もあった。新入りのくせに生意気だ、とボス的なグループからいじめられた。スラム出身の子もいた為か、見た目と不釣り合いな、下品な言葉を投げ掛けてきた奴もいた。

その度に裕くんが助けてくれた。それだけが救いだった。水をかけられ、濡れたまま立ち尽くしていたところに、物凄い剣幕でタオルを持って走ってきてくれた。朝から消えた靴を二人で探して、日が暮れた事も何度もあった。

決して器用じゃなかった。けれど、泥まみれになっても、どしゃ降りの雨の中でも、ずっと一緒にいてくれた。

無論、熱が出たときにもずっと手を握ってくれた。すりおろした甘酸っぱい林檎を食べさせてくれた。プラスチックのカップに入ったフルーツゼリーを買ってきてくれた。

それまで、人に甘えるという事が分からずにいた。

それなのに、裕くんだけを頼りたい、ずっと一緒にいてほしい、という気持ちになった事に最初は驚いた。