心臓を喰らう【黄】

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「私は羽澄A 。あなたは？」


「...るぅとです」




＿＿るぅとくんね、宜しく！＿＿




目の前で微笑む彼女の姿

ぶわり、どろり 。

溢れ、混ざるこの感情は何なのか

僕は混乱した





関 わ っ ち ゃ い け な い



彼女...羽澄Aを見た瞬間

それは確かに、本能的に感じたもの



僕とは違う世界に生きている


"幸せな人間"


彼女は紛れもなくそれだった



小さい頃からずっと恨んできた人種

きらきら、ふわふわ


＿＿＿何なんだそれは 。


羨 ま し い


実際に見てしまうと抑え鎮めていたものが

どろどろと溢れ出すのを感じた


やっぱり無理だ

一緒にいると"違い"が余計浮き彫りになって

比べて、勝手に惨めになって

また負ける 。


一緒にいると頭がおかしくなりそうだった

ぐちゃぐちゃに壊してしまいたかった






＿＿＿でも




「るぅとくん、秘密で外出ちゃおうよ」


「え...駄目ですよ、看護師か親が一緒じゃないと僕は」


「...また苦しそうな顔してる 。」




僕の頬を優しくなぞる細い指

慈愛に満ちたその瞳


全てを見透かされているようだった

その綺麗な瞳で僕の汚い心の奥底まで覗いて

全部取り除いてしまうんじゃないかって...


嗚呼

やめてくれ

やめてくれ




「私、るぅとくんにはもっと自由になってほしい」




＿＿ずっと籠の中にいるのは、退屈で、寂しいでしょう？＿＿




「それにね、厳しく制限されてる方がストレス溜まると
思うんだ 。」




ふわりと笑った彼女

差し伸べられた手は僕なんかより

ずっと弱々しくて簡単に折れそうで



でも、でも




「...外に、出たい」




＿＿＿手を伸ばさずにはいられなかった




だって彼女は




あんなにもきらきらしていたから(自分にはないものを沢山持っていたから)



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