モブ団員と不機嫌兎少年 ページ3
(side 団員)
目を離した隙にヤバいことになった。
「アイツを外に出していいなんて言った覚えないんだけど、一体誰が許可したんだい?」
「い、いやな、団長。これには色々あってな」
「色々? それ 俺が納得できる理由?」
癖のあるハリボテのような笑顔を張り付けていた団長は、俺の言葉に耳を傾けると薄っすら目を開いた。
鋭い
…嬢ちゃん一人逃しただけだろ、勘弁してくれ。
たかだか女一人にどんだけご執心なんだ。
てか ご執心なら放置しておくなよ、団長。
「団長はここ数日連絡が取れなかった。
副団長も提督に呼ばれて…」
「そんなのが理由になると思ってるの?」
「ま、待て団長……!」
捉えられない速さに反応が遅れた。
気付けば、俺は頭から壁にのめり込んでいて辛うじて動かせた両手を壁につき頭を抜く。あー、どうすっかな。
冷静さを欠く相手に何を言っても無駄な気がする。
団長を見りゃァ、ふんぞり返る様に両腕組んで香水の匂いプンプンさせていた。それだ、それ。この人は嬢ちゃんが愛想を尽かして出ていったって考えには至らねえのか?
「はぁ…勘弁してくれ団長」
「此方の台詞だよ」
「安易に嬢ちゃんを外に出したのは悪いと思ってるけどよ、団長も団長だ」
半壊した壁を背もたれにその場で胡座をかく。
「俺が思うに 嬢ちゃんはヤキモチ妬いて出ていったな」
「ヤキモチ?」
「他の連中に聞いて周ってたぞ。
んで、団長が何処行ってんのかわかってた」
嬢ちゃんは団長に好意を抱いていて女遊びや外に飯を食いに行く事を潔く思っていなかった。最初こそ青ざめたツラして過ごしていたようだが最近じゃ不満げに窓の外を眺める姿を何回か見た。元々浮気は許せないタチなんだろう。
だから出ていったんだとあくまで俺の考えを話してやれば、団長はまたニッコリ笑みを浮かべた。
「何それ。好きなら離れていくなよ」
「俺に言うな、俺に…」
「…少し甘やかし過ぎたかな。女は手が掛かっていけないや」
俺達からすりゃ、アンタもガキの頃から十分手が掛かるが。
こっちの苦労を知ってか知らずか団長は嬢ちゃんを探してこいなんてくだらねェ命令を下した。
仕事の尻拭いは慣れたもんだが女相手の尻拭いをさせられるのは癪に障る。去り際に「そういや寝ずに待ってたぜ、団長のこと。健気だねェ」と目の下にクマを作っていた嬢ちゃんの話をしてやった。
団長がどんなツラして聞いていたかわからないが反省してくれ。
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました!!そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました!軽く怖っ!って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー!ありがとうございます…! 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです!(´ω`)! (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年10月16日 19時