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「………？」
何かが開かれる音に目を覚ました。
結構な時間寝入ってしまったようで部屋の中は真っ暗。
耳を澄ませるも隣の部屋から生活音は聞こえてこない。 みんなもう寝ているのだろうか。
「邪魔するぜ」
「……ふ、！」
「しっ、騒ぐと面倒になる」
時計を見ようと部屋の電気に手を伸ばせば誰かに口を塞がれた。拘束されていない両手で相手を引き剥がそうとするもびくともせず、恐怖が募る。
「んー！」
「落ち着け。嬢ちゃん、俺だ」
「……ん、んん"……ん？」
窓から差込む月明かりに照らされて相手の顔をはっきりと捉える。落ち着く私を見て口元から手が離れていく。
「あ、…阿伏兎さん」
「よぉ。元気そうだな」
「阿伏兎さんも変わら、……老けましたか？」
「誰かさんのせいでな」
神威さんだ、間違いない。
この口振りは神威さんのせいだ。目の下に色濃く残るクマが過酷な労働環境を物語っている…！
「…お茶、飲まれます？」
「いんや。お茶もいいがおじさんは月夜の散歩に出掛けたい気分なんだわ」
「すみません。
「門限ねェ…」
何か思案した様子でポリポリ頬を掻くと「上ならいいか？」そう言って天井を指差した。
「屋根上なら…、あの。強制送還とかはないですか」
「するならとっくにしてるだろうな、団長が」
神威さんの名前を出されると妙に納得してしまう。
気苦労の絶えない阿伏兎さんに更に負担をかける事になるが私も気になった事があったのでこの際だから聞いてもらおう。
もし私が屋根上に行ってる間に誰か様子を見に来てもいいようにと布団の中に丸めた毛布を詰め込み、肩に上着を羽織る。
「お待たせしました。行きましょう！」
「危ねェからよせ」
窓枠に足をかければ後ろから襟首を引っ掴まれた。
「おぶってやるから」
「こう見えても木登り得意なんです」
「悪いが片腕ねェもんでな、担いでやれねえ」
「人の話聞いてください」
片足をつき背中を向けられるもそれにおぶさる自分を想像して恥ずかしくなる。なかなか乗ろうとしない私に痺れを切らした阿伏兎さんが振り返り、目を細めた。
「乗らねェなら今すぐ連れ帰っても構わないが」
「重いですがよろしくお願いします。前世は漬物石です」
羞恥心は捨てて子泣き爺になりきって背中に乗っかれば、阿伏兎さんは小さく喉を鳴らして笑った。
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (
レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました！！そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…！ (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました！軽く怖っ！って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー！ありがとうございます…！ 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです！(´ω`)！ (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おいも | 作成日時：2019年10月16日 19時
