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少女とくすぐり兎 ページ44




第七師団の食堂には、大きなテレビが一つ壁上に備え付けられている。昔の食堂にあるような付け方なのにテレビだけは今時の薄型。そんな薄型テレビはいつも音だけ流していて、見向きもされない。

見るのは私くらいなので、思い切って阿伏兎さんに「私の部屋に欲しいです!」なんてお願いをしてみた。
食事中だった阿伏兎さんは面倒くさそうにテレビへ目線を投げると、あぁ、と低い相槌をうった。

「持ってけ持ってけ」

「ホントですか! やっ、」

「駄目だよ阿伏兎。あまりそいつを甘やかしちゃ」

やったー!と声を上げるよりも先に神威さんは「お父さん!あまり娘ちゃんを甘やかさないで!ゲームは次のクリスマスって約束でしょ!!」と、家計のやりくりを頑張るお母さんみたいな事を言い出した。

「甘やかしてるつもりはねェが…そもそもテレビ(あれ)見てる奴いるのか?」

「俺が見てるよ」

どうしてそんな平然と嘘つけるんですか。
いつもご飯だけしか見てないの私知ってますからね!
ほら! 今もおかずのハンバーグと空になったどんぶり茶碗見て私に渡して来てるじゃないですか!ハイどうぞおかわりです!

「お前もテレビくらい買ったら? ちゃんと給料あげてるだろ」

「ぐっ…!い、いただいてます」

神威さんの言う通り、毎月働いた分きちんとお給料をいただいている。最初 私を買ったと豪語していたから無給を覚悟していたけれど、その辺りはちゃんと配慮してもらえている。ぶっちゃけてしまうとコロッピー星にいた頃の倍はもらっていて、正論に返す言葉がない。


♪ チャッチャララー

『さあ! なんて書いてあるでしょうか!?』

「こんなの分からない奴いるの?」

「意外と当てるのが難しいみたいですよ」

軽快な音楽と司会者の音声がテレビから流れてきた。
神威さんが珍しく興味を示していて、一緒になって番組を見る。
番組内で行われているのは、出演者同士が背中に何か書き合って文字を当てるゲーム。

私の返答に「…そうなんだ」と呟く神威さんに、とてつもなく嫌な予感がした。今までそんな力隠してたの? と、自分でも驚くくらいの早さで調理場へ駆け込み、仕事の続きをする。 私は仕事中 仕事中…!

暗示を掛けるようにブツブツ言いながら洗い物を片付けていく。 すると、背中に悪寒が走った。

━━━ツゥー…

「ッひ!?」

背中に何かが触れた。あまりの擽ったさに手に持っていたお皿がガシャンと流し台に落下する。振り返ろうとしたら後ろから頭を押さえつけられて首が回らない。




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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時

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