少女とセクハラ兎 ページ26
拝啓 コロッピー星の店長へ
時下ますますご盛栄の(以下略)……今私はなんやかんやあって腱鞘炎になってしまいました。そんな中、相も変わらず健気にも常連さんの艦でお世話になっています。でも、どちらかと言えば私がお世話しているような気もします。
「………」
店長、私は貴方の元でいろんな食材を見てきました。
見た事もないゲテモノを捌いていた店長を青い顔で見ていたあの日が懐かしいです。
「お、嬢ちゃんどうした?包丁握りしめたまんまで」
「すみませんこれ調理しないとダメですか。他の人に頼んでもいいですか」
「…ああ、それ団長が食いたがってたやつか」
まな板の上に置かれているのはアンモナイトに似た貝殻を持つ貝。
見た目からして保護者から苦情が寄せられるこの一品を私は見たことがある。これはあの、あれ。アニメでモザイク掛かってたチコン貝ですよねこれ。
店長の元 ゲテモノ耐性を獲得していたはずの私でもこの貝に包丁を入れることはしたくない。
「嬢ちゃんならいけるさ」
通り掛かった団員さんは、顎髭を撫でながら無責任なことを言ってきた。私にこの貝を調理させようものならセクハラ、そうセクハラです。
「わかりました、法廷で会いましょう…」
「海賊に法廷もクソもねーぞ」
「なら、七三分けの弁護士さんお呼びします!!」
「おいおい、落ち着けって。
これはよォ、艦ん中じゃ嬢ちゃんしかできない仕事なんだ。何故だかわかるか?」
なんとなく察しはついていたが間違っていたらあれなので首を横に振っておく。
「それはな…俺達じゃ見てるだけで息子が縮み上がるからだ」
…真顔でそう言われ、釣られて私の顔も真顔になった。
「それって食べる側も縮み上がるのでは…、
はっ!そうです! 団長さんの為にも別の品を用意しましょう!」
「あの団長が気にするとは思えねェ。
そもそも食いたがってるしな」
頑張れよ、と背中を強く叩かれ前のめりになり、鼻先がチコン貝に触れてしまった。ぬめりけを帯びているそれに鳥肌が立つ。
ち、縮み上がってもいいので誰か代わりに調理してください…!お願いです、私これに触りたくない……!!
他に誰か…誰か助けてくれる人は……。
調理場を見渡すと普段話をしない強面な団員さんと目があった。顔中に傷のあるその人は目を見開くとギロリ、と睨み付けて肩を鳴らした。
あ、あ、すみませんすみません…!!
光の速さで頭を下げまくり、チコン貝に向き直る。助けてください、店長。怖いです店長…!
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時