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(side 阿伏兎)
「これはこれは神威殿!」
両手を合わせごまをする取引相手に、団長はにこにこと笑みを浮かべ、一言二言 言葉を交わす。 対応が面倒だと時折視線を投げてくるが見て見ぬふりをして今日の取引物に目を向ける。
今回
離れた星に隠れ住み、移住の早さも異常ときた。
おかげで捕らえてからベースに戻ってくるのにかなりの時間がかかっちまった。その間 好きな飯を食えなかった団長の機嫌はすこぶる悪く、八つ当たりまでされる始末。今も早くこのヤマを片付けてあの店に行きたくて仕方がねェようだ。
「では、奥で契約を…」
「別に俺はここで済ませて構いませんよ。
「え、ええ。そうですが、いやしかしですね」
立ち話もなんだと案内する相手に団長が断りを入れる。
まァこんな船がゴロゴロしてるトコで仕事の話なんざ落ち着いてできやしないかと辺りに停泊しているモンを見て思う。
「……ん? ありゃァ確か…」
立派な船が並ぶ中 見慣れた小型船が目に留まった。
「おい! 待て!」
「わっ、どうしたの阿伏兎。大きな声出して」
「あの船、どうする気だ?」
団長を無視しながら取引相手に詰め寄り、今にも取り壊されようとしている店の船を指差す。
「ああ。処分するんですよ」
「処分?……おいおいまさか」
誰か捕まったか? 全身緑の気の良い店長の顔が頭に浮かぶ。従業員想いのいい上司。部下にとっちゃァいいだろうがそれが裏目に出ることもある。それが今だ。
大事な従業員が出前先から帰ってこないとなれば、落ち込むのは目に見えている。店をたたまれるなんてことになったらウチの団長様の機嫌取りが大変だ。
「あれに乗ってたやつは何処に?」
「おや。気になりますか?…見られてしまったのでね、少し休んでいただいてます」
「…休む、ねェ?」
どうしたもんか。帰す気がみられねェ相手さんに考えを巡らせていると、いつの間にか隣りに居た団長の姿が忽然と消えていた。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時