店員少女とおねだり兎 ページ14
最近 閉店間際まで呑んだくれる常連さんがいらっしゃる。
「…ハァ……」
その名も阿伏兎さん。どうも気苦労が溜まりに溜まっているようで、週に多くて三回程やってきては一人カウンター席で静かにお酒を呑んでいる。
「今日も随分とお疲れのようですね、旦那」
「あァ…ガキの面倒見るのも中々大変だ」
他のお客様が帰られると店長は阿伏兎さんとお酒を片手に呑み語らう。私はその間に洗い物を済ませる。
閉店作業のBGMは大体阿伏兎さんの愚痴。その内容は
聞くだけで胃が痛くなってくるとんでもない暴れん坊具合に、阿伏兎さんを労りたい気持ちが膨れ上がっていく。
一段落した作業の手を止めて、戸棚から薬瓶を手に取った。
「これ、よかったら…」
「…嬢ちゃん…」
キャベツで作られた優しい胃腸薬を差し出せば阿伏兎さんは目に涙を浮かべた。α…αですよ、コーワなαです。阿伏兎さん。
あれ、胃腸薬と胃薬は違うんだっけと考えていると阿伏兎さんは顎髭を擦りながらジッと私の顔を見つめてくる。
「嬢ちゃん、歳はいくつだ?」
「18です」
「18…団長と同じかァ。どうしてこうも違うかねェ」
18歳の基準を神威さんにしてはいけない気がする。
他の18歳は普通……あれ?お妙さんも沖田さんもあれ?この世界の18ってやばい人多い?ドS腹黒多くないですかこれ。
気付いてはいけない世界の真理に気付いてしまったかも知れない…! 私は慎ましく生きていこう。
「女でも知りゃァ少しは変わるかと思うんだが」
「どうなんでしょうね、女の子でも彼氏さんが出来ると人が変わったようになると聞きますが」
「嬢ちゃん、男はいるのかい?」
「ふふ、収入が石油王並に安定してて私を大事にしてくれるまじやばいくらいイケメンの彼氏様がいますよ」
「そうか。いねェのか」
「話聞いてました?」
「店長、最近の18歳ってェのは彼氏彼女いねェようでおじさん悲しいよ」
「ディスってますよね。それディスってますよね」
少なくとも阿伏兎さんは18の頃おモテになっていたようで羨ましい。…うーん、顔だけなら神威さんも言い寄られたりしていそうだけど拒んでいるのかな。
女よりも食、食よりも戦いみたいな所があるから適当にあしらっていそう。私にもそのモテる遺伝子を分けて頂きたい。切実に。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時