* ページ40
·
「とりあえず貸せ」
「······へ?」
ポカンとしている私に、
手をくいくいと曲げている北山さん。
「時間ねぇんだろ?」
「········なんで知ってるんですか?」
「さっきからひとりで呟いてただろ?
間に合わないって。お前声でけぇから」
・・・・そんなにしゃべってたっけ、
だとしたら私、相当ヤバいやつじゃん。
「ほら、貸せよ半分」
「·····悪いですよ、」
「今さら何抵抗してんだよ。貸せ」
何回かお互いにこの会話を繰り返し、
ようやく折れた私は積み重なる資料を半分手に取り、
「・・・・ありがとうございます」
ん、って私を上から見下ろす先輩に
頭を下げてから手渡す。
「てかなんの用事?
そんなに急ぎの用事なわけ?」
「······あっ、藤ヶ谷さんと約束があって······」
先輩が受け取ると思いきや、
触れるだけで一瞬動きが止まった。
思わず落としてしまいそうになった資料を
慌てて抱え直しても、
北山さんは難しい顔をして固まったまま。
·
「・・・・・あの、北山さん?」
「·····え?あ、わり·····」
少し曇ったかのように見えた北山さんの表情は、
少し経つとまたいつもの愛嬌のある笑顔に戻った。
「あのっ、やっぱり自分で
「いいってそういうの」
奪い取るようにまた資料を手にすると、
私から離れて自分のデスクへ戻る北山さん。
·
「そうやって、いつも自分で抱え込むのやめろ」
真っ直ぐに見つめられて、
少しこわばった顔なのに
しゃべり方は泣きそうになるくらい優しくて、
胸騒ぎがするの、北山さんといると。
「·······北山さん、」
「なに」
「······ありがとうございます、」
「ん」
顔も見ないまま返事をすると、
またパソコンに移し直すその目線。
どうしようもないぐらい変な気持ちになって、
藤ヶ谷さんが好きはずなのに
北山さんといる度に付き合っていた時のことを思い出す。
そしたらまた、前に進めなくなる。
・・・・・・・忘れられなくなる。
988人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - りなさん» はじめまして、コメントありがとうございます^^きゅんきゅんしていただけましたか!一番嬉しいお言葉です(笑)続編もupさせていただきましたので、是非そちらでもお待ちしております☆ (2018年5月21日 1時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 続編楽しみです!きゅんきゅんです! (2018年5月21日 0時) (レス) id: 7acbea5606 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はちみつさん» ・・え?はちみつさん?こちらこそいつも小説読ませてもらってますっ!いきなりの登場でびっくりです・・(笑)私もこのお話の北山さん大好きなんですよね〜、もどかしいんですけどリア恋はやっぱり北山さんが一番似合うなと思って妄想が止まりませんでした(北山担) (2018年5月20日 11時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - こんにちは^^*小説読ませてもらってコメントしてしまいました( ´ ▽ ` )俺が好きでしょみっくん、気持ち分かります!近くにいるリア恋すぎてね、なかなか好きって気付けないんだけど何だかんだで北山さんが一番なんです!(北山担の意見笑)またキュン作品待ってます♪ (2018年5月20日 9時) (レス) id: 110603a9b6 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - mokaさん» mokaさん、またまたありがとうございます!こんな風に優しすぎて胸が苦しくなるほどの彼氏いませんかね(いない)玉森さんの年下設定なら、私の作品で既に書いているので、多分一番書きやすいかと思います(笑)またまたお時間いただきますが、ぜひお待ち下さい^^ (2018年3月21日 22時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あい | 作成日時:2018年2月27日 1時