47 ページ46
·
「·····じゃっ、がんばってね」
目を合わせることもなく
くるりと宏光に背を向けて
逃げるようにこの場を去ろうとした。
·
「······っ、」
「なんで逃げんだよ、」
私の手首を掴む大きな手。
触れられたその部分だけがじんわりと熱を増すのは、
「·······ごめんっ、やっぱり無理だよ」
掴まれた腕を無理やり解いて
太輔の元へ無我夢中で走る。
ドクドクと心臓を高鳴らせながら
少しずつ距離を離すと、
ようやく立ち止まって荒ぶる呼吸を抑えた。
・・・・・好きだ、
どうしようもなく宏光のことが好きだ。
今だって、まだ熱いよ。
掴まれた手首も、顔も。
一瞬だけ合った視線を思い出したら
また胸がきゅって、締め付けられる。
太輔が待つ場所まで、
あと少し・・・・・なのに。
まただ、足が動かない。
「········っ、」
自分が嫌になる。
あんなに太輔に優しくされといて、
こんなにも中途半端な自分が。
·
「やっぱりひとりで行かせるんじゃ無かった」
頭の上から聞こえた優しい声に
そっと顔を上げると、
少しきつめに抱きしめられた身体。
「······遅いから、
こんなことだろうと思った」
ぎゅっ、って
何回されたかな。
何度あなたに安心させられたかな。
私だけが独占しているこの甘い香りも、
細い割には大きい身体。
耳元で聞こえるとびきり優しくて低い声。
「········太輔、わたし
「それ以上言ったら怒るよ？」
言葉とは裏腹に、
身体を離すと優しい顔をした太輔がいる。
“大丈夫だよ”
ふんわりと頭に置かれた手。
でもね、私気づいちゃった。
目の奥が震えてる。
太輔、ものすごく泣きそうな顔してる。
本当に一番辛いのは太輔なはずなのに。
「·····今日は、やっぱり俺ん家来て」
ぎゅっと繋がれた手に、
私は小さく頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1446人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あゆ(プロフ) - すごくよかったです！！先輩と後輩のパスワード教えていただくことってできますか？ (2019年10月16日 14時) (
レス) id: 4e0821302c (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - たちょんさん» はじめまして！いつも楽しみにしていただけているなんて、とても光栄です(*´∇｀*)それなのに更新頻度が滞ってしまい申し訳ないです(´；ω；｀)これからも北山さん、頑張りますので（作者はこじらせるつもりですが笑）最後まで温かく見守っていただけると嬉しいです^^ (2018年9月24日 18時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
しょーみつしょ。(プロフ) - あいさん» いえいえ(^^) 本日中に移行されるんですね！ 楽しみすぎてニヤけます笑 (( そうなんですよ、ひっそり書いてました笑 タイミングよく見つけて頂いたなんて光栄です笑 これからもよろしくお願いします(*´∀｀) (2018年9月24日 17時) (レス) id: f9dd1382d4 (このIDを非表示/違反報告)
たちょん(プロフ) - あいさん、はじめまして！陰ながらいつも読ませていただいておりました！私、このお話大好きで！いつも更新されていないか確認するほどで！！北山さん素直になって！！と思いながら応援しております^^笑 これからも楽しみにしているので、無理なく頑張って下さい！！ (2018年9月24日 17時) (レス) id: 79ef55ee6d (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - しょーみつしょ。さん» ・・・っていうか！先程見つけたんですが、しょーみつしょ。さんお話書かれてますよねっ？タイミングよく見つけてしまいました（笑）なんだか知ってる名前だなぁとは思ってたんですけど・・・(*´∇｀*)笑。またそちらにもおじゃまさせていただきますね！ (2018年9月24日 16時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい
| 作成日時：2017年9月9日 10時
