６年経ったら�� ページ3
私の大学と対比される有名校の出身で
きちんと卒業しながらこの段位を持つ、
二つ年上の彼。
はっきりと誘われるのは、初めての経験で
ずっと戸惑っていて、今も居心地が悪い。
父もいると言うのに、ためらいもない所が
私の苦手意識を更に強めているのに。
「Aさんに会えたから頑張れたよ」
真っ直ぐに握手を求められると
断わることなんてできないし。
「いえ、先生、さすがの攻めでした。
とても勉強になりました」
無難に返すだけで精一杯になる。
「本当、他人行儀と言うか、
要するに僕に興味がないんだろうけど。
でもその分、僕がAさんを想うから
ちょうどバランスが取れるんじゃないかな」
そんな風に余裕で切り返されると
何も言えなくなる。
それどころか、妙に納得したりして
誘われることにも慣れてきている。
そんな流れで海堂さんの車に乗せられて
研修の帰りに送って頂いたことがあった。
囲碁棋士も彼のレベルになると獲得賞金は
かなりの額になる。
同年代の男性会社員の何倍だろうという額。
彼の乗る車は、私でさえ知っている高級車で
身体を包みこむような上質なシートに
ちょっと驚いた記憶がある。
「その助手席に座った女性は、
Aさんが初めてだよ」
「と、言われましても、何とも」
「素っ気ないなあ。
でも、そこがまたいい」
「はあ」
噛み合わない会話。
お互い自分を曲げず言いたい事だけを言う。
不思議と居心地は悪くないものだから
ここ数回は、お誘いを断わらずに
洒落た一軒家のフレンチレストランや
高層階に新しくできたイタリアンにと
連れて行ってもらっている。
背中に手を添えられたエスコート、
綺麗な包みのスイーツのお土産、
溢れている私への細やかな気遣い。
“女の子“として扱われるのは、嬉しい。
翔くんは、どうだっただろう。
想い出は、何故か霞がかかったように
所々あやふやで、翔くんの声だけ聞こえて。
私は、始めから別れることを決めていて
覚えようとしなかったかもしれない。
もう、遠い記憶。
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おはな(プロフ) - mayuさん» mayuさん、楽しみと言って頂けることに安堵しました。そうですよね、素っ気なく離れて行った彼、また近づいてきた彼の真意を書かなくては。時間がかかってしまいそうですけど、またmayuさんに来て頂けるようがんばりますね。 (2021年2月2日 20時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - さる子さん» さる子さん、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいです。テンポよく更新できていた頃の感覚がなくて、愚痴の様なコメントを残してしまいました。彼の真意に辿りつくまで、しっかり書いていきますね。ありがとうございました。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - たまりんさん» たまりんさん、少しペースは落ちているところ、コメントを頂きありがとうございます。彼の行動の一つ一つに意味があり狙いがあり、気持ちがあるのはもちろんです。それを何とかお話に乗せられるよう頑張りますね。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - おはなさんの書くお話、言葉も、繊細な心の動きも丁寧に書かれていて、面白いです。翔くんは一体どうしたいのか続きが楽しみです！ (2021年1月31日 9時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
さる子(プロフ) - ぜんぜん！がっかりなんて！楽しみにお待ちしておりました。おはなさんのペースで更新してけだされば。彼の真意を想像しながらまっていますので。更新に感謝です。 (2021年1月31日 2時) (レス) id: eb4a575f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2020年12月25日 23時
