３粒 ページ17
大学生の私に教えてあげたいな、
翔くんは、分かってくれてるよって。
私が分かって欲しい本当の気持ちを
微妙にずれてはいても、察していて
分かろうとして見ていてくれていた。
良かったじゃない、これで充分よ。
あの頃の辛さが報われたような気持ち。
「ねえ、A、そこで完結しちゃうの？」
早速、電話してきた美琴が不満そうに言う。
「いいのよ、充分報われたもん。
私、疎まれたわけじゃなかったんだから
なんか、もういいかなって思ったの。
いつまでも過去にこだわっていても
幸せになれないじゃない？
充分なのよ、もう本当に大丈夫」
裏を返せば、会わなくなってから今まで
私は、大丈夫じゃなかったってことで
６年経った今、解放されたように感じている。
千秋さんとの２ショットも、もういいや。
翔くんも好きな人と好きなだけ一緒にいて
幸せになったらいいのよ。
さあ、トーナメントが始まる。
今回は、今までで一番気合が入っていて
予選から震えるような緊張感があった。
そのくらいで丁度良いと臨んだ対局。
結果。
本戦には出場できた。
でも一回戦で敗退した。
海堂さん、二宮さんはシードだった。
これが私の現実だった。
「悪くなかった、Aの攻めは。
俺は、好きだけどね、時の運ってもんだよ」
敗退した直後の会館のロビーで
項垂れてため息をつく私の隣には、
有名ブランドのスーツを着こなし
カッコよさが３割増しの二宮さんがいて、
ご自慢の甘い笑顔で慰めてくれる。
ほれって渡してくれたペットボトルの紅茶、
私が好きな物だって知っていたんだ。
背中をぽんぽんと叩く手は、温かい。
「このまま頑張れば、必ず先は開ける。
いいか、必ず開けるんだからな。
自信を失うな、本当の負けになるぞ」
「うん、ありがとう、覚えとく」
素直に返事をすると拳が差し出されて
開いた中にキャンディが３粒あった。
「腹が減ると人は悲観的になる。
血糖値上げて、早く冷静になれって」
ちょっと泣きそうになる。
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おはな(プロフ) - mayuさん» mayuさん、楽しみと言って頂けることに安堵しました。そうですよね、素っ気なく離れて行った彼、また近づいてきた彼の真意を書かなくては。時間がかかってしまいそうですけど、またmayuさんに来て頂けるようがんばりますね。 (2021年2月2日 20時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - さる子さん» さる子さん、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいです。テンポよく更新できていた頃の感覚がなくて、愚痴の様なコメントを残してしまいました。彼の真意に辿りつくまで、しっかり書いていきますね。ありがとうございました。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - たまりんさん» たまりんさん、少しペースは落ちているところ、コメントを頂きありがとうございます。彼の行動の一つ一つに意味があり狙いがあり、気持ちがあるのはもちろんです。それを何とかお話に乗せられるよう頑張りますね。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - おはなさんの書くお話、言葉も、繊細な心の動きも丁寧に書かれていて、面白いです。翔くんは一体どうしたいのか続きが楽しみです！ (2021年1月31日 9時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
さる子(プロフ) - ぜんぜん！がっかりなんて！楽しみにお待ちしておりました。おはなさんのペースで更新してけだされば。彼の真意を想像しながらまっていますので。更新に感謝です。 (2021年1月31日 2時) (レス) id: eb4a575f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2020年12月25日 23時
