【銀魂ﾄﾘｯﾌﾟ】恋動の幕末

安心できた ページ10

「はい、できたわよ」

「あ、ありがとうございました」





ーーーただいま、少年…新八君の家

姉であるというお妙さんが、私に着物の着方を
伝授してくださるということで訪れたのだ。






「……結構、帯締めるんですね」

「あら、苦しい？」


「少し…」
「私が着せたんですもの。…苦しいの？」


「…そ、爽快です。」


「そう？よかった。もう一度着直さなきゃ
いけないかと思った」






美人である。ーーが、それゆえに、…なんだ
さっきの圧力は。怖いんですけど。
笑顔なのがとくに。





「すごく似合ってる。
さっ、銀さん達に見てもらいましょ？」

「あ、はい」


「もう！敬語やめてよ。
Aさんのほうが年上なのよ？」

「あ、いえ。昔からこんな喋り方なんで」


「あらそうなの？」





穏やかに笑う彼女は、すごく大人っぽくて。
…昔の女の人って、若くてもすごいんだな。







．









「ーーーお待たせしました…」




「ったくよー、女は準備長くていけねーな
覗こうかと思った……くぶっ」

「銀ちゃん、顔になんかささってるヨ
包丁みたいなやつ刺さってるヨ」

「みたいなっつーかまんまだろこれ」




坂田さんたちの待つ部屋へ戻れば、どこから
ともなく飛んできた凶器により、
死地に直面する坂田さん。後から姿を現した
お妙さんは、手をパンパン払いながら
うふふ、と不敵に笑っていた。



「ごめんなさい。
ゴキブリと勘違いしちゃったわ」

「ゴキブリに包丁投げる女なんざ
聞いたことねェよ」




江戸の女の人は、やはり強い。
私なんて比べものにならない。




「…お、お似合いですよ！Aさん」

「ど、どうも」




新八君により、話がそらされた。
君はそうやって、お姉さんの犯行を
見て見ぬ振りしてきたんだね。





「……なんか、何から何までごめんなさい。
よそ者で…しかも訳わかんないこと
いってる変な人なのに」





自分でいってて余計に落ち込んだ私に、
坂田さんは、気にしすぎだと説教口調。






「ーーーいいか？こんな寒空の下に
あんな露出度のたけェ女放るわけにゃ
いかねーだろうが。…いいから甘えとけ」





その代わりこき使ってやるからな、と。
ニヤリ、悪戯めいた笑みは、どこか可愛らしく

私から緊張を奪い取って行った。







「……はい、」





いつ戻れるか分からないことに対する
不安なんていくらでもあるけれど。




(なんか……楽しそう)








ーーーー…ほんのすこし、安心できた

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