【銀魂ﾄﾘｯﾌﾟ】恋動の幕末

♯2 ページ19

ー銀時サイドー




「銀ちゃん…Aおそくないアルカ」

「あ？」


「たしかにすこし遅いですね。
…鳥居を確認しにいっただけでしょう？」


「長ェうんこでもしてんじゃねーの？
全部だしちまわないとすっきりしねーしな」

「銀さんがモテない理由がわかりました」





軽口を叩きながらも、チラリと一瞥した時計は
夕方の時刻をさしていた。

ーーー奴がでていったのは昼過ぎ。
言われてみれば、遅すぎる。


……一瞬、元の世界に帰っちまったんじゃ、と
思ったが。どうにもしっくり来ない。





「…A……迷子になっちゃったアルカ」

「おいおい、あいつもう20だろ？」




勘弁してくれよ、と頭をかいた俺に、
神楽はしょぼくれる。ーーAに懐いていた
こいつからすりゃ、心配なのも妥当だろう。





「ーー銀さん、」


「んだよ。テメェも迷子ネタか！しつけーよ
お前のメガネも迷子にしてやろーか！」


「いやそれどういう意味ですか。
そうじゃなくて

……最近増えてるっていう女性誘拐事件、
あるじゃないですか」




「……おう、」





連日ニュースで取りざたされている、巷では
ちと有名な未解決事件だ。

それがどうした、と返した俺自身に
嫌な冷や汗がつたう。

思い出されるのは、初めて奴と会った時のこと






．






「今朝のニュースで見たんです。
あの鳥居周辺、ーーーあそこで怪しい男の
目撃情報があったって」


「……、」





新八の言葉にどくん、と嫌な音が鳴る心臓。
神楽も不安げに眉を寄せる。



．





「まじでか！それAがあぶないヨ！
胸は小さいけど顔は完璧アル！」

「テメェは褒めるか貶すかどっちかにしろ！」






鳥居の場所

…俺と初めてあったときに
あいつが襲われたのも鳥居周辺だった


窓の外をみれば、ーー今朝から降り続く雨は
さらに雨脚を強め、道行く人は歩調を速めている。…あぁ、なんつー不審者日和。いかにも
怪しいおっさんが出そうじゃねェか。







「……ちっ、あのクソ女、面倒くせェ。
手間かけさせさせやがって」





木刀を手に立ち上がったと同時、
ーーチリリ、と。店の電話が音を立てた

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