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♯3 ページ14

「言ったろ。こういうことにゃ甘えとけって。
それにもう暗ェ。江戸ってのァ物騒でな」




言われてみれば、ーー確かに日は落ちかけ、
空は赤く色づいていた。少し冷たくなった風の
中、土方さんはこちらを見据えて。





「おら、いつまでもぐずってねーで行くぞ」

「…あ、はい、」




何もわからぬこの世界、私に向けられる
優しさに、自然と頬が緩む。

少しだけ高鳴った胸を押さえて
彼の後をおった。















「あだっ……」





帰路の途中、突然ピタリと止まった土方さんに
後ろから衝突した。広い背中を間近に、
少し痛む額をさすりつつ。









「ど、どうし____、」
「ーーー飯食ってくか」


「……は?」




思わず小走りに土方さんの顔を覗き込めば、
ーーにやり、と笑ったその人が指差す先には
ファミリーレストラン。






「も、申し訳ないですけど、無一文で」

「いいだろ、行くぞ」
「いや、よくないですよねっ」





……え、食い逃げ的な?警察が?

試しに懐を探ってみたが、
金は一銭もでてこない。当たり前だ。


ーーが、買い込んだ食材たちは
未だ土方さんの手の中だ。そのままばっくれる
わけにもいかず、彼の後に続くことにした。




いらっしゃいませ、と明るい挨拶が投げられて

喫煙可のテーブル席へ通された。ーー店の中は
平日ということもあって客も少ない。


すぐにメニューを広げた土方さんは、黙って
文字を追っていく。何やら納得したらしい
その人が、店員に言葉をかける。

ぼんやりとその成り行きを眺めていた私は、
ーー不意に、彼と目があって。






「何か食わねーのかよ」

「あの、…は、犯罪はよくないですよ」


「…何勘違いしてんだ」





呆れ顔で紫煙を一つふかし、「ほら選べ」と
メニューを私の眼の前で広げて見せた。





「え、でも、…お金、なくて」


「ったく、…んなもん察しろよクソ女」
「クソ!?」




突然投げられた暴言に目を白黒させる。
察しろと言われても、会って2度目の男性の意図を読み取るなんて不可能では。しかも私とは
違う世界の住人なのだから尚更だ。

私の言いたいことを察したのか、土方さんは







「ーー…奢ってやるっつってんだよ」




早口に、ぶっきらぼうに、投げやりに、
ーーけれどどこか優しげに、そう呟いた。








「え、」





無一文の私に、
会ったばかりで特に親しくない人が、だ。

♯4→←♯2



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シュシュ(プロフ) - ライラックさん» ありがとうございます!精一杯がんばります! (2014年12月27日 19時) (レス) id: 3d9f014fa5 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ(プロフ) - ライラックさん» そうなんですか!?…あ、もしかしたら私もかもっ…。でもとりあえずおめでとうごさいます!ということで。笑 (2014年12月27日 9時) (レス) id: 3d9f014fa5 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック(プロフ) - この小説面白いです!!更新頑張ってください! (2014年12月27日 9時) (レス) id: 15e1b5e5df (このIDを非表示/違反報告)
ライラック(プロフ) - 銀魂アニメ再開嬉しいです!!私の地域で見れないけど多分… (2014年12月27日 9時) (レス) id: 15e1b5e5df (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ(プロフ) - 恋狂さん» 私も母にビックニュース!!って叫びながら報告しました!笑 スポンサーについてくださった勇気のある人たちに感謝です (2014年12月26日 15時) (レス) id: 3d9f014fa5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年12月16日 22時

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