【銀魂】うまく生きる為の方法

お褒めの言葉 ページ32

ー銀時サイドー

簡素な部屋。いい歳の女が住んでいる部屋とは
あまり思えない。一度ぐるりと見渡して。

いまだ半覚醒のそいつを、ソファに下ろす。



「んー、オヤジ臭い・・」

「このアマ、」


「でも、あったかいねぇ、ふふふ」

「・・そうかよ」



不意打ちである。
色気もクソも愛想もねェ女だと思っていたが、
酒が入れば、少しは変わるらしい。

赤らんだ肌やぼんやりとした瞳は、少なからず
色気を含んでいる。ーーが、惑わされてはいけない
これは、どの女にも共通する事項じゃないか。


ぶんぶんと頭を振って、考えを払いのけた。





「ーーー水持ってきてやるから、少し待ってろ」

「あらま本当？悪いわねぇ。嬉しいなー」

「酔ってんなお前」



以前は口が悪くて面倒臭い絡み酒だった気がするが
今日は随分とヘニャヘニャである。

棚から出したテキトーなコップに注いだ水を
半ば無理やり飲ませば、少し落ち着いたらしい。




「ぷは、・・ありがと」


座り直したAは、「すまんねぇ」と。





「・・今日は変な話しちゃったね」

「・・そうだったか？」

「なんか、あんたと向き合うと、
変なことばっか語ってる気がする」




いまだ真っ赤な顔に、困惑するような表情を
浮かべ、苦笑した。

言いたくなかったことなのか、心の奥に押し込んでいた感情だったのか。酒の力とは偉大なり。






「何言ってんだ。人間は変な生き物だろうが。
お前もカウンセラーの端くれなら、それくらい
知ってんだろ」

「まあ、そうだね」

「たまにはいい具合に発散させねェとな。
パチンコとかな」

「面白いくらいダメ人間要素が結集されてるよね」

「うるせーな。元気になれりゃそれでいいんだよ」




玉打ってれば、人間は元気で健康だ。
おまけに勝てば金もたまる。何が悪いのやら。

ちょうど昨日、つぎ込んで散財したことが
脳裏をよぎり、少しギクリとするが、

もうすんだことだ。





「坂田さんって、人に気を使わせないっていうか
使う必要性を感じないっていうか。むしろ使うだけ
無駄っていうか」

「喧嘩売ってんのか」

「違う。褒めてんの」

「どこがだ」


「人に警戒心抱かせないなんて、ほとんど才能だもん。やろうと思ってもなかなかできない」

「・・・酔ってんな」




普段から褒められることなどありえないため、
こうしみじみ言われると少し気恥ずかしい。

ただし、普段から貶され慣れてるとは言ってない。
断じてそれはねェ。

聖剣→←タクシー扱い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す