【銀魂】うまく生きる為の方法

とめどなく ページ12

ー銀時サイドー




「確かにお前、若ェ割に背負ってるオーラが
ドス黒いんだよな。早死にしそうな感じ」

「うっせェ！ここは励ますとこだろ！」




箸でうどんを持ち上げたまま、顔を渋く歪めた女は
気を取り直すように、盛大に息をついた。






「まあ、あれよ！家と親と私の頭がちょっくら
あーだこーだあったってこと！」

「いやどういうことだよ。
お前の頭が悪いってこと以外何もわかんねーよ」

「そう！全ての原因は私の頭の悪さなの！
あんた推理力あんじゃない？」

「え、何か知らねェけど核心ついちゃった？」




無自覚に1人でいろいろ溜め込んでしまう奴ってのは
爆発すると抑えが効かない。

自分の思いや考えを我慢するのは、精神的によくないことだと、ーーカウンセラーまがいのこいつが、
知らないはずはない。



この女の中には、何か大きなわだかまりがある。


初めに感じていたこいつの黒い気配が、
一層濃くなった気がした。





「・・つかお前、そんなメンタルで客の愚痴なんか
聞いて大丈夫なのかよ」


「べっつにー？仕事だし」

「割り切ってるってか」


「・・・正直、好きで始めたことじゃないしね」




ぼそり、ーー最後に呟いた言葉は、
独り言のつもりだったのだろう。

そいつは、再びこぼれ出す愚痴をツラツラと
吐き出し始めた。酒も入ってねーのにこれだ。


普段どれだけ抑え込んでいるんだか。
もしかしたら、それが癖になってるのかも
しれなかった。一度口を開けば、とめどなく溢れ出してしまうのだろう。




・・・なんだか、無性にそいつが小さく見えて、

俺は冷やかしを封印し、相槌を打ちながら、
柄にもなく、真剣に流れる愚痴をすくい続けていた









，









「ーーータバコ、吸っていい？」



食べ終わった頃、ようやく落ち着いたらしい女は、
懐から取り出した箱を掲げた。



「なんだよ、喫煙者だったのか」

「たまーにね。気分を落ち着かせたい時とか」



静かにくゆる白い煙。確かに、そいつの表情が
穏やかになった気がした。









「・・ちったァスッキリしたか」

「うっ、」



本人はというと、俺にいろいろ吐き出したことに
対して、少し後悔しているようだった。
気まずそうに目をそらされる。





「まあ？優良な発散口だったよ」

「何じゃそりゃ」




つまり、スッキリしたってことじゃねーのかよ。

可愛げないところは、鬱憤が多少減ったくらいじゃ
変わらないらしい。

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