【銀魂】可もなく不可もなく

出会い頭に悪口 ページ30

少し向こうでは、「バラしてやる！！」「んだとテメェ固めて捨てる！」等々、カタギとは思えないような言葉で言い合いを続ける銀さんと副長さんを気にしながら、沖田さんに向かい合う。






「・・・へーって何ですか」

「いや、ずいぶん親しげに話すんだな、と」

「そりゃ愛想くらい作れますからね私だって」

「そういう問題じゃねーです」



確かにまあ、銀さんと知り合って数ヶ月は
経ってるわけだし、月3回ほどのペースで
会っていれば、それなりに仲良くはなるだろう。
何がおかしいのやら、やっぱり沖田さんは変な人だ





「普段あれだけ人に気を遣うあんたが、
息をする様に毒舌吐きつけるたァ、」


「はい？」

「旦那相手だと気遣いなんざ抜けちまうみてェで」




気遣いが抜ける？
いやいや、私はこの人と違って、親しき仲にも
礼儀ありって言葉を重んじている。決して銀さんを
無下に扱っているつもりはない。・・ない。



(ーーあれ？)






"腐り落ちてますから"





・・さっき、私はさらりとあんなことを？
正直にいうと、確かに完璧な本音なわけだけど。

普段、そんなひどいことを人に投げかけるなんて
私にはあり得ないことなのだが。






「嘘・・、」

「いいことじゃねェですか。気遣いがいらねーって
ことは、気を許してるってことでしょ？」


「気を、許す、」



淡々と喋る沖田さんの口調は、ーーなんだか、
私を説得するかの様で。ふわりふわりと、
私の中に落ちてくる。





「心配入りやせんぜ。あん人ァ人に噂されりゃ悪口
出会い頭に悪口。常に悪口に晒され、免疫がついてるってどころの騒ぎじゃねーんで」

「無残な人生ですね」



でもまあ、万事屋を見ていればわかる。
銀さんの常日頃からの発言にも問題はあるが、
従業員の子供達二人からは、彼が口を開けば、
奇跡的な高確率で罵倒が返ってくる。

とはいえ_____、





「・・まさか私が、」

「万事屋の旦那は特別ってね。ーーま、せいぜい
四苦八苦してくだせェ」


「え、ちょ、沖田さん」
「さて、土方が遊んでるうちに俺ァ失礼するぜ」




不思議な面倒ごとだけ残して、
ふらりと軽く手を振ったその人は、人混みの中へ
消えていった。

どうにもそれに気づいていない副長さんから
うまく逃れるつもりらしい。なんて警察だ全く。
あれで給料もらってるんだから解せない。



ーーーとまあ、現実逃避は単なる時間稼ぎにしか
ならないわけで。

問題が多発→←毒舌

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す