【銀魂】可もなく不可もなく

突然変異 ページ25

ひとまずご飯にしようと着席した私たち。食器の音が響く中、話題は継続されており。





「あ、辛くないですか？」


「・・味も見事に普通なんだよな」

「一般人カレーにウマイもマズイもないですって」



ルーは市販のものなのだから、
あとは隠し味とかで変わるんだろうけど。
生憎そんな技術は持ち合わせていない。

私の答えに、まあそれもそうかと、
これは納得してくれたらしい。少しの沈黙に、
食器の音が奏でられる中、「そういや」と、
次に口を開いたのも銀さんだった。





「ーーーお前兄弟とかいんの？」

「いますよ」



兄が一人。
私とは3歳離れている。



「この一軒家だって、兄さんのものなんです」



一足先に上京を果たしていた兄さんに借りたものだが、今やもうどちらが家主なのかわからない。




「この兄というのが、なかなかファンキーな人で」

「ファンキー？」




私や両親がごく普通であるのに比べ、あの人は
ぶっ飛んでいる。どこでそんなDNAが紛れ込んだのだろうかと、家族会議が開かれたこともあった。




「・・中二病を患っていた時期は特にすごかった」

「何だそりゃ」

「なめちゃいけませんよ、うちの兄さんを」




家の近くにある立ち入り禁止の廃旅館。
そこに眠るグリザードソードを掘り起こすと、
数日間帰ってこなかった。むしろ中二病の域すら
超えているのではなかろうか。今はその何にでも
のめり込む集中力や探究心が幸いして、
ゲームなどの開発部にいる。我が家の出世頭だ。



「たくましいな」
「凄まじいんですよ」


「ちなみにお前の思春期は？」

「・・・ご想像の通りかと」

「兄貴に吸い取られたか」



何だその搾りカスで作られたみたいな言い方は。
言っておくけど、あの両親の性質から考えたら
私が成功例なのだ。







「兄は突然変異」

「ひでェ言われようだな」

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