【銀魂】可もなく不可もなく

痛感した ページ19

ー銀時サイドー




どうにも、スイッチを押してしまったらしい。
Aはニヤつきながら本の整理を再開した。




(ーーー変と言われてここまで喜ぶたァ、)



それ自体も十分変じゃねーのか。

ぱっと見と成績が平均ってだけで、
案外中身は特殊な部分も持ち合わせてるのかも
しれない。






「・・銀さんだけです。私のこと良い感じに
言ってくれるのは」

「良い感じに言った覚えはねェけどな」




コトリ、ほとんど流れ作業で本を重ねていく。
時折舞う埃が、年季を語っていた。




「ーーーにしてもこれだけの量の本、内容なんざ
覚えてねーだろ」

「覚えてますよ」

「嘘つけ」

「読書ってのは、記憶力や読解力、漢字力なんかも
身につけられるんです。銀さんもどうです？
オススメ、貸しますよ」

「それは何か。俺にそれらの能力がねーってこと」

「そうとは言ってないですよ、直接的には」
「オーイそれ間接的には肯定してるよね」




愛想笑いだけだった女が、少しは言えるように
なったわけか。なんだか成長を見守る親の気分だ。
ジンときた。いや、俺は貶されてるわけなんだが。



「ま、気が向いたらな」

「一生向く気配がないですよね」

「よくわかってんじゃねーか」




連なった文字を長時間読むのは苦手だ。
絵を想像しながら読むとか何とかいう奴もいるが
違う動作を同時に行うのはほぼ不可能だろう。

結論的に、漫画が最も平和的で俺に優しい。

そんな答えを出したところで、本に意識を集中させた俺の隣で、Aはふと手を止めており。





「ーーーところで、実際のところ平凡な女って
どうなんでしょうか世間的に」


「ぶっ」




突然何を言いだすかと思えば。
ヘビーな質問におもわず吹き出した。



「・・世間的にってお前、
この前、平凡でも良いって結論に達しなかったか」

「いえ。万人いればそれだけ意見がありますよね」

「何があった」




とにかく、その顔とか口調から察するに、
万事屋を訪ねてきたあの日以降に、何やら再び
考えを揺さぶられる出来事があったらしい。





「どうも何も、そりゃもう人それぞれの好みだろ」


「男性が言うタイプって、女子の突出したチャームポイントについて言ってるわけで、突出がない普通で平凡の私は、つまり誰の好みにも当てはまりませんよね」

「いつにも増してネガティブだな」

「今、読書が趣味だと痛感していますので」



そうしてまた沈み込むA。

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