【銀魂】闇に酔う悪魔

心に詰まるもの ページ10

ー土方サイドー






「ーーー決行は3日後だ。しっかり心算しとけ」




朝の会議が終わりを告げた。
背伸びやあくびをかましながら座敷を去っていく
隊士どもからは、全くもって緊張感が感じられず。




「ったく、・・呑気な野郎どもだ。平和ボケか」

「まあまあ土方さん。いっつも気ィ張ってちゃ
治る便秘も治りやせんぜ？」

「ふざけんな。快便だわ」



かくいう近藤さんも、「今日はお妙さんが」と
わけのわからねェ理由で屯所を飛び出していった。

大友の案件については、3日後決行される。
過激派というだけあって、裏ルートを使い
手に入れた飛び道具がちと厄介だが、

あの人数ならば難無く叩けるだろう。






「・・それに、気ィ引き締める必要があんのァ、
あんたですぜ、土方さん」


「・・あ？」

「先日、闇遊郭に行って帰ってきてから、時折ぼんやり遠く見つめてみたり難しげに顔歪めてみたり。
まるで定年退職後のジジイでさァ」





珍しく会議後におれの元に来たと思えば、
やはりいびりにきただけか。

どっこらせと俺の前に腰を下ろした総悟は、
大げさに肩をすくめた。






「そんなにイイ女だったんですかィ」

「・・そんなんじゃねーよ」




そんなんじゃねェ。

仕事で仕方なくいった闇遊郭出会った女が
忘れられねェなんざ、どこのドラマだ。

そんなものに出演した覚えはねーし、
もう一生会わないだろうと断言できる女を
引きずるほど、俺はウブなガキじゃない。






「別に責めちゃいませんがね、俺が言いてェのは、
そんな状態で3日後ついてこられても、足手まといだってことなんです。何か心に詰まってるモンがあるなら、しっかり解消してきてくだせーよ」




いや、ガキなのか。
こんなガキに促されている俺は。

総悟の後ろ姿を無言で見送り、ため息をこぼす。


タバコを取り出し火をつければ、
嗅ぎ慣れた匂いが広がった。頭が冴えてくる。








「・・完璧責めてんじゃねーか」



それに、どうするもこうするも、
簡単に解消できる問題じゃねーんだ。

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