【銀魂】闇に酔う悪魔

イイ女 ページ8

ー土方サイドー





朝方、いまだ強烈な眠気を抱えながら、
巡回に繰り出した。






「ーーーで、どうだったんです？例の遊郭」


「あ？」

「行ったんですよねィ、昨日」


「・・まあ」




総悟は呑気なもんで。
無遠にあくびをかましながら、
まるで世間話のようなテンションだ。





「あの報告書を見た限り、随分話してくれたみてェ
ですが、どんなテクニック使ったんです？」

「誤解を生むような言い方をするな」

「まさか土方さんがヤリ手だったたァ驚きだ。
プロの女さえ手玉にとっちまう」

「だから言い方ァァア！」




あれから、Aが話してくれた情報は
細かい男の素性であり。


攘夷志士としての活動拠点やら、志やら人数やら。
本当に知ってることは何の惜しげも無く。
何の見返りも求めず。







「・・・その様子だと、イイ女でもいたようで」




イイ女。
確かにありゃイイ女かもしれねェが。





(ーーーそう一括りに言っちまっていいもんか)





見た目とか、動作とか。
そういうところだけじゃねェ。

内から流れてくるその哀愁にも似た何か。
それが俺を惹きつけるんだ。


あそこから動けない。縛り付けられたように、
ずっとああして座っている。
足もある、意思もある。それなのに、あいつは
望むというわけでもなくあそこに存在する。


そのどうしようもない不遇さが、横顔が、
脳裏をよぎって仕方ねェ。







「ボケっとしちまって。こんなんじゃァ俺があんたの後釜におさまんのも時間の問題ですねィ」


「テメェが後釜に座るくれェなら、猿座らせといた
ほうがいくらかマシだろうよ」

「そりゃひでェや。今回の事件、俺たち一番隊が
大活躍する予定だってのに」





総悟には、やはりバレていたか。

だがまあ、俺がこんなふわついた状態じゃ
確かにこいつのいうことも一理あるだろう。


しっかりしなければ。例の大友のことにしろ
まだ解決したわけじゃねェんだ。







「その"イイ女"のおかげで突き止めたアジトは、
今山崎が洗ってまさァ。近々動けるでしょ」


「呑気な野郎だな。刀磨くくれェしたらどうだ」

「そりゃもう入念にやってますよ。なんたって
土方さんの弔い合戦ですから」

「・・・あれ俺いつ死んだの」





いつになっても変わらぬ悪態ぶり。
たまには可愛げの一つでも見せればいいものを。

腹黒さは日を追うごとに磨かれていく。

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