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迷っている ページ27

ー土方サイドー






それはもうすでに遠い過去のこと。

鈴のような声で俺の名を呼ぶおしとやかな女は、
弱くて小さくて、俺の腕に閉じ込めれば、すべてが壊れてしまいそうな奴だった。



ーーーだからこそ、俺は迷わず突き放した。




不器用な俺が、血濡れた手で抱き寄せるより、
もっと暖かく綺麗な手が触れるほうが、あいつに
とってもいいのだと。








「ーーー・・ふぅ、」



再び一人の沈黙を取り戻した部屋の中、
タバコの紫煙が舞った。





今回は違う。

"迷っている"ーー総悟の表現は、悔しいことに
しっくり来ていた。

一人の遊女を切り捨てることができずにいる。









(・・あぁ、そういや)




どことなく、似ているかもしれない。あいつに。
何かを抱えて生きてる。抱えた上で強く。


ーーいや、






「似てねェか」




なんたって、"あいつ"は強かった。
体が弱くとも、どれだけ辛くとも、笑っていく
強さがあった。だから俺も、何も言わず去った。
その強さに甘えていたのかもしれない。



それにひきかえ、Aは、まだガキだ。
怖いものには震えている。強がって何ともないフリ
をしようとするが、ひどく歪で辿々しい。

咀嚼して腹に落とし込んで、そうして全てに
納得して笑うことが、できねーんだ。
嫌なことは嫌。ーー俺をあの遊女に引き止めるのは
そういうところなのかもしれなかった。



あんな場所で、強がって生きている一人の女。



逃げられるのに、逃げようとしない。




全てを諦めたように足掻くのをやめたあの女を
救ってやりたいと、ーー思ってしまっているのだと
したら。・・それは、どんな結果を生むのだろうか

約束のそれ→←今と昔



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ややさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!!読んでくださり、感激でいっぱいでございます!がんばります! (2018年2月1日 20時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
やや(プロフ) - 凄くいい話ですね尊敬しましたこれからも更新頑張って下さいね!!! (2018年2月1日 19時) (レス) id: 551e634984 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!土方さんは、実は優しいんじゃないかな?というのが私の妄想です笑。きっとピンチに助けに来てくれるはずです!あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!ちょっと土方さんがヘタレになってしまいましたが…最後はきっとビシッと決めてくれるはず…です!頑張ります! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!何とか一巻完結ということで、どうなるのやら私もわかりませんが、頑張って収めたいと思います!どうぞ楽しんでいただけると光栄です! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月4日 1時

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