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世界の違い ページ19

日が経つにつれて、あの人の面影は強くなる。このままでは仕事にならないかもしれない。小さな不安と焦り。







ーーー私は、久々に外に出た。





手軽な羽織を着て、店を一歩出る。
冬だということもあって、刺すような寒さが
肌に触れ、一つ身震いする。

この店は闇営業のくせに、暖房設備は充実している
らしい。中はちっとも寒いとは感じないのだ。




明るい日光が、目に眩しい。
今日はどうやら、晴天だ。







「・・外だ」



路地を抜けて、大きな道へと出た。
人の声と足音であふれ、賑やかなそこは、
確かに"外"であり。

楽しげに言葉を交わす住人たちが、
輝かしい笑顔を掲げていた。



外に出れば、いやでも落差を思い知る。
私の住む世界は、裏だ。右も左もわからない暗闇。

ここは、光に満ち溢れている。







(ーーそうか、)



ここは、彼が住む世界だ。
それは綺麗で、明るくて。

とても私が踏み入れていい場所じゃない。なら、
汚れた体で、彼に近づいていいはずもない。


ふとそんなことに気づく。







「・・・、」



胸が痛くて仕方なかった。
ぎゅっと締め付けられて、苦しくて辛くて。


別に、あの人を探しにきたわけじゃない。
ただ気分転換にと店を飛び出してきただけだ。

ーーーなのに、どうしても、彼のことが頭をよぎる









「おーい、ねえちゃん大丈夫?」

「・・ッ、え?」




一つ、声が降ってきた。
それと同時に、私の目の前で振られた大きな手。





「こんな道端で何泣いてんだよ。見られてんぞ」

「泣い、て」




その男は、呆れたように私を見下ろしていた。
まるで周りの視線から私を隠すように、
大きな体が影を作る。

慌てて目元を拭えば、人差し指に雫がたまった






「男にでもフラれたか?まあんなことで人生だめに
なるわけじゃねーんだからよ、気にすんな。
ほら、見てみ?オスなんざそこらへんに
転がってんだろ。あの犬とかどーよ」




男はなおも話し続ける。
よくもまあそれだけ言葉を紡げるものだと。
呆れを含んだ苦笑が漏れた。


ーーすると、男の方もニヤリと笑う。






「ようやっと笑ったな」


「え、」

「暗ェツラしてちゃ幸運が逃げるってな。
泣きたきゃ泣けばいいが、そのあとは笑うべきだ」





そこではじめて、ちゃんと見た男の顔。

ーーー綺麗な銀髪が、日光に照らされていた。

紳士→←嘘ベタ



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ややさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!!読んでくださり、感激でいっぱいでございます!がんばります! (2018年2月1日 20時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
やや(プロフ) - 凄くいい話ですね尊敬しましたこれからも更新頑張って下さいね!!! (2018年2月1日 19時) (レス) id: 551e634984 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!土方さんは、実は優しいんじゃないかな?というのが私の妄想です笑。きっとピンチに助けに来てくれるはずです!あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!ちょっと土方さんがヘタレになってしまいましたが…最後はきっとビシッと決めてくれるはず…です!頑張ります! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!何とか一巻完結ということで、どうなるのやら私もわかりませんが、頑張って収めたいと思います!どうぞ楽しんでいただけると光栄です! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月4日 1時

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