はじまりは、不純。

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不純すぎる理由で半ば無理やり言いくるめて彼女の手首を強く掴んだ俺。
まさかの発言に驚き困惑するのは当たり前だと思う。


それでも相談、と称して悩みを語った俺の話に真剣に耳を傾けそれに対してきっと大丈夫、と微笑んだ彼女に再び俺は……胸がなんかおかしくなる。


見た目もすごく可愛い上に柔らかい声色とか話し方とかその雰囲気。全部がいちいち俺のどっかを刺激して、なんかたまんない。
単純すぎるけどこのままいい人ぶって引き下がりたくなんかなくて、嘘に嘘を重ねる。


失言は沢山あってナンパだとか自暴自棄だとか。
誰でもいいから助けて、なんてそんな言い回しをした俺は馬鹿すぎるけれど。
このままサヨナラなんてしたくなくて俺は暴走し、｢ヌナ｣……なんて甘えるように彼女を頼り、そんな俺に振り回されながらも困ったように眉を下げたキミがもうたまんないぐらい可愛くて。









　
やがてたどり着いた小さなワンルームの部屋。
そこは彼女の１人暮らしの部屋で広くはないのに暖かくて落ち着く不思議な空間で。



…わ、なんかヤバイかも…



彼女を知りたい、もっと一緒にいたい触れてみたいと思ってしまった俺は改めて向き合い自己紹介するものの、もう止まらなかった。









　
ご無沙汰、と言えば聞こえが悪くてあれだけど。
数年ぶりに女の子の手を握ってみれば柄にもなく胸がばくばく鳴る。


あったかくて柔らかくて小さくて。
俺の手なんか小さいほうなのに、それにくるまれてしまう彼女の手になんか……胸がぎゅっとなって。



ずっと触れたかったそのふわふわな栗色の髪だって遠慮がちに撫でてみればもうだめ。
甘い香りと頬を真っ赤に染めながら俺を見上げる困った表情……唇を噛んで見つめる瞳が俺の暴走に拍車をかける。





キミは俺たちに憧れていて俺を推してるんだっけ。
なら…と自分の中の悪い部分が調子に乗せて欲求は止まらず。




戸惑う彼女を無視して俺は今夜だけでも、と自分の気持ちを押し付けてあざとく甘え、彼女を自分本位に触れたい感じたい、と思ってしまった。


不純すぎる理由と嘘に今は目を逸らしたい。


だから、もっとキミに近づきたい覚えたい、俺の全部をあげるから。と明るすぎる部屋で彼女に触れてしまえば可愛いをぎゅっと詰め込んだキミは……俺に惑わされる。



困っているのに頬を真っ赤にさせて涙目で見つめられたら止まんない……食べたい。なんて…
俺は自分の間違いに気づかないふりをしたんだ。








　

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