門限やぶり ページ49
泣かないのって私の頭にぽん、と乗せた母の手が暖かくてその表情も少し寂しそうで。
「……お父さんには私からも説得してあげるから。
二人とも頑張るのよ。」
お父さんは私の言葉に固まってしまい心ここにあらずな感じで社長の威厳ももはや見当たらない。
そんな父を見たジョングク君はきっちりと頭を下げてやがてゆっくり顔をあげると
「……これからは俺がお二人以上にAを大切にします。
だからもう掟はいりませんし無くならないなら……破るだけです。」
とことん生意気にとことん強気に微笑んだ。
「……はっ?……君はどれだけ私をっ…」
「んはは!やべ、調子乗りすぎた!
俺、今日誕生日なんです。
まだ時間あるから……A、逃げるよ!」
「えっ…!?」
「あっ……待ちなさいっ……」
「…ふふっ!素敵な王子様ね。」
あまりの展開と私たち二人の生意気さに正気を取り戻した父は待ちなさい、と私の腕を引く。
その反動で我が家の門に足を踏み入れそうになった私を寸前でジョングク君は右手を取り、強く掴んでひらりとかわすように……駆け出した。
掴まれた手が、指先が絡んで繋がれて離さない、とでも言うように二人の握力が熱となって。
その温度を上げて、逃げるよ!と言ったあなたは弾ける笑顔で私を見下ろしながら走り出す。
あまりの展開とまさかの状況にあの緊張感はどこへやら。
戸惑う私もだんだんと可笑しくなってしまい
つられて笑ってしまえば走っていても笑顔ばかり花が咲く。
「…はは!あはは!……A意外に足速いじゃん!」
「はぁっ……そういう問題じゃな、…ふふっ……あはは!」
逃げるように宛もなく走りつづけて二人、肩で呼吸をしていて。
これが成人した、大人の二人の行動だなんてあまりにも滑稽でおかしくて、それがまた……私たちを笑顔にする。
「あ、A……9時過ぎてる。」
「…ほんと?」
「うん。また俺、Aの初めてもらったんじゃない?」
「そうだね……門限をやぶったのも初めて…………んっ!」
「はは!じゃあこのキスも初めてだね。」
会話に混ざる唇の熱が私を赤面させて……簡単に拐ってく。
『門限やぶり』
END,
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おけ(プロフ) - 初めてコメントします!すごく引き込まれる話で一気に読んじゃいました!主人公の控えめな感じがすごくかわいいです! (2022年2月2日 1時) (レス) @page50 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
anya(プロフ) - 初めてコメントです!!門限やぶり…私の一番大好きな曲でまさかあの曲が元とは知らずに題名に惹かれ読み始めましたが、最初の一文読んだ時に鳥肌立って!一気見です!凄く良かったです…そうそう、こういう曲だよと一人でニヤニヤしながら読みました。最高な時間でした (2021年12月1日 21時) (レス) @page50 id: 459e0f1979 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - みきさん» 返信遅れてしまいすみません!コメント本当に嬉しいですありがとうございます(*^^*)二人の恋の続き……絶対可愛いと思います私も妄想が止まりません(笑)きっとお互いに嫉妬して一波乱くらい展開ありそうです…たまんないですえへへ(*^^*)読んでくれてありがとうです! (2019年10月3日 22時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 可愛い2人に終始癒されました。これからもヒロインちゃんはグクに嫉妬することがあるんでしょうけど、きっとグクはその何倍も嫉妬しそうwまた2人の番外編があったら読んでみたいです!完結お疲れ様でした! (2019年9月30日 23時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - じゅりさん» 読んでくれてありがとうございます!好きすぎて思わず突発的に書いてしまいましたがそう言って頂き本当に感謝です!次回も機会があればぜひ遊びに来てください(*^^*)本当にありがとうございました! (2019年9月29日 17時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱーふん | 作成日時:2019年9月15日 21時