俺とヒミツの恋、しよ？ deep night ver. 2

war　of　hormone　8 ページ8

最近の高校生はオトナの言うことを聞いてくれない。
いや、キム テヒョンに限って言うことを全く聞いてくれない。





離して、と言っても身を捩ってもケタケタと笑いながら余計に抱きしめるその腕を強く巻きつけてくる。





首筋にあたる吐息にびくりと肩が跳ねて
耳元に入るゆっくりと低い低音のそれにぎゅっと目を瞑って。






何度張り手をかまそうと、きっとまた簡単に手首を取られてしまうならこれじゃあ打つ手がない。









　
　


　
TH｢……センセーは俺にこうやって抱きしめられて何とも思わない？｣




｢………………っただっ……ひたすらに離して欲しいと思ってるっ、｣




TH｢……ウソだ。心臓の音こんなに聞こえてんのに。｣









　



　
どくんっ、と胸が鳴るのはきっとキム テヒョンが私のパーソナルスペースをいとも簡単にぶち破ってくるから……だと思いたい。







突拍子のない言葉や行動の全部に驚き、たまに私を黙らせるような鋭い何かにビビってしまうからこんなに胸が鳴ってるんだ。
……真面目な顔やいきなり低く静かな声を出されてしまうと怖いとさえ思う。





守ってあげる、とか俺のものになって、という言葉は誰にも言われたことなんてないから少しだけ……ほんのちょっとだけ胸がきゅ、となったのはきっと私がそういうのが疎くて慣れてないからで。







……だめ。キム テヒョンはだめ。







私はただの保健室の先生で彼はこの学園の生徒。
こうやって抱きしめられてる状況だって本当は許されない。





容姿端麗だろうが私に興味を持ち含みをもたせる言葉を囁こうがそれに一々反応しちゃだめ。






……ただの一時の興味でしょう？
私の無駄すぎる体型がただ気になっているだけ。
あなたが私に向ける視線は今まで何度も男性から向けられてきたそれと同じだもん。









　
｢……離れなさい。いい加減にして。｣




TH｢……やだ。｣




｢…………っやだは……やだっ……｣




TH｢……んははっ！……かーわい。
センセーは可愛いよ。ホント食べちゃいたい………｣









　
真剣な表情や声色も全然意味ない。
わがまますぎるし強引すぎるし本当にどうすればいいのか分からない。




毅然とした態度で立ち向かっても卑しくにっこり微笑んでやだ、なんて。





たった２文字の言葉に負けてしまえば可愛いと甘く囁き、耳に吹きかけられる吐息にまた胸がきゅ、となった。









　

　

　




　

　

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