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あの特別な1日から数ヶ月。
時が過ぎるのは、あっという間で。
気が付けば明日は卒業式。
この可愛いかった制服も明日で最後。
私は、受験先からも無事に合格をもらえて、
友人たちもミンミンも、
無事に進路先への合格や内定が決まった。
太一は相変わらず部活ばかりの日々だけど、
自主練習のときや時間がある時はなんだかんだで一緒に帰ってくれた。
今日も体育館は卒業式の準備で使えないから、
別館のほうで自主練習らしい。
もちろん一緒に帰る約束をした。(ほぼ無理やりに)
しかも、自主練が終わったら、
教室まで迎えに来てくれるんだとか。
なんて優しい子。もう、好き。
｢んふふ〜｣
上機嫌で机にうつ伏せになりながらスマホを弄る。
昨日の太一とのLINEでのやり取りを見直した。
『明日、Aさんがしたかったこと全部しましょ』
おやすみなさい、の前に送られてきたその1文を指でなぞる。
以前いっしょに帰っている時に、
｢卒業するまでに太一と学校で色んな事してみたかったなぁ｣
なんて私がぽつりと呟いたことがあって。
太一はそれをちゃんと覚えていたらしい。
｢したかったこと……かぁ｣
体操服姿は見たし、制服も大丈夫、ユニフォームも部活着も見た。
あとは校内散歩と同級生ごっこ…とか？？
うわ、太一絶対イヤがりそうだな。
顔を歪める太一を想像して机に頬をつけながら廊下をぼうっと眺めていた時、
｢……あっ、太一きた！｣
｢お疲れ様っす｣
自主練を終えたらしい制服姿の太一が教室へとやってきた。
*
｢えー｣
隣の席のイスに横座りしている太一に
私の『したい事リスト』の内容を伝えると
案の定、思いっきりイヤな顔をされた。
うん、だよね。そんな顔すると思ったよ。
もはや想定内だったから驚きも怖さもないわ！！
｢でもしてくれるんでしょ？私がしたいこと｣
｢まあ言い出しっぺは俺ですけど｣
｢ふふん。男に二言はないよ川西くん｣
にっこりと微笑みながらそう言うと、
｢……分かりました。付き合います｣
太一はひとつ溜め息をつくと、
もう諦めますと言わんばかりの表情で笑った。
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作者名：nome. | 作成日時：2017年2月12日 0時
