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周りはよく、俺の恋愛事情について聞いてくる。
「川西ってさ恋とかしないの??」
「え?あー…」
今日もまた興味津々な感じでクラスメイトが聞いてきた。
「そうだな…」
中学のとき1回だけモテ期というものが来た。
この身長のおかげかもしれない。
同級生、後輩、話したことのない子から
同じクラスの子までたくさんの想いを伝えられた。
でも、いつも返事は同じ。
その子のことを別に好きじゃないから断った。
ノリでOKしろよ!と友人は言ってたけど、
それはそれで相手の子に失礼だし。
そもそもバレーでいっぱいだったし。
結んだところで、すぐに解けてしまう縁なら
はじめから結ばないほうがいいし。
そんな考えは高校に入っても同じだった。
うん。同じ、…はずだったんだ。
『ひいい!今日もかっこいいよ太一!』
俺の考えのすべてをあの人がバラバラにするまでは。
1つ上の学年の先輩であるAさんは、
なんか変だし、いつも騒がしいし、
瀬見さんと同じくらい世話好きだし、
正直、苦手なタイプだなと思ってた。
でも最近になって一緒にて楽しいかもなと思ってしまう。
ほんとなんでだろう?よく分かんない。
「おーい川西!かーわーにーしー!」
「ん?……あ、ごめんごめん」
「ぼーっとすんなよ〜。で、実際どうなの?」
「んー、そうだな」
再び脳裏に浮かんだのは、
俺に駆け寄ってくる時のAさんの満面の笑み。
あの人いつもすっげえ笑ってんな。
ふっ、と思わず口元が緩む。
「ごめん。よく分かんない」
「はあ?なんだそりゃ」
そう軽く流すように微笑むと、
クラスメイトは笑いながら背中をバンッと叩いてきた。痛い。
そしてなぜかは分からないけど、
Aさんの顔を思い出した時に少しだけ左胸あたりがギュッとなった気がした。
なにこれ。あの人の呪いか何かか?
もしかすると俺は知らないうちに病気になったのかもしれない。
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作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時